高天神城の戦い

高天神城の戦い

高天神城（たかてんじんじょう）は、1574年と1581年に武田勝頼と徳川家康の間で争われた二度の攻城戦を指します。この戦いは、現在の静岡県掛川市にあたる遠江国に位置する高天神城を巡るもので、戦国時代の重要な戦闘の一つとされています。

高天神城の歴史的背景

高天神城は元々今川氏の支城でありましたが、桶狭間の戦いを経て今川氏が衰退すると、城主の小笠原氏興は徳川氏に寝返ります。これにより、高天神城は徳川軍にとっての重要な拠点となり、遠江・駿河の国境付近でその支配を強化するために戦闘が繰り広げられることになります。

それまで武田信玄は徳川軍と小競り合いを続けていましたが、1571年には彼が2万5000の大軍を率いて三河・遠江に侵攻します。この際、高天神城は攻撃を受けますが、撤退されることになります。しかし、その後も武田氏は高天神城を狙い続け、織田信長と同盟を結ぶ徳川氏との間での緊張関係は高まっていきました。

第一次高天神城の戦い

1573年、武田信玄が死去した後、武田勝頼が新たに当主となります。ここから織田信長との連携を強化した徳川家康が反撃に転じ、1574年に入ると高天神城に向けて攻撃が開始されます。この攻城戦では、武田軍は2万5000の兵を動員し、城を攻撃しましたが、城内では小笠原長忠が指揮を執っており、彼は徳川家に援軍を求めます。

信長の援軍が到着するまでの間、武田軍は次第に城を包囲し、内部分裂が起こります。最終的に、反乱に加担した小笠原氏助の裏切りにより高天神城は陥落しました。武田勝頼は城兵に対して寛大な処置を講じ、その結果、彼の声望は高まっていきました。

第二次高天神城の戦い

1575年の長篠の戦いでの武田軍の大敗は、戦局に大きな影響を及ぼしました。武田勝頼はその後、高天神城を防衛するために様々な努力を行いますが、1578年には周囲の「高天神六砦」によって城が包囲され、供給路が断たれてしまいます。

1580年10月、徳川家康は5,000の兵を率いて攻撃を開始し、兵糧攻めを行います。状況は厳しく、高天神城の守軍は食糧不足に悩み、最終的には援軍が送られず、岡部元信が降伏を強いられる形で城は陥落しました。この戦いでは、徳川軍による捕虜の処刑が行われ、前回と対照的な厳しい対応がとられることになります。

高天神城陥落の影響

高天神城の陥落は、武田勝頼にとって致命的な打撃であり、彼の威信は著しく低下しました。この出来事によって、武田氏の信頼が揺らぎ、結果的に織田信長による甲州征伐の際には、彼を裏切る者が続出します。高天神城の戦いは、戦国時代の流れを変える出来事となり、徳川家と武田家の運命を大きく左右したのです。

この戦いは、戦国時代における城の重要性と、戦闘における同盟や裏切りの影響を如実に示した例と言えるでしょう。

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