高家寺

高家寺（こうけじ）について

高家寺は、岐阜県各務原市の那加北洞町に位置する、高野山真言宗に属する密教寺院です。この寺院は岐阜県最古の寺院としての歴史を持ち、奈良時代以前に創建されたと考えられています。高家寺の由来やその成り立ちについて、詳しい歴史を見ていきましょう。

歴史

高家寺の起源は、平成元年（1989年）に発掘された「高家廃寺」に端を発します。この寺院は「たきへでら」とも呼ばれており、飛鳥時代に創建されたとされています。高家寺の開山は、寛永16年（1639年）にさかのぼります。この年は、島原の乱が平定された翌年であり、徳川幕府の3代将軍・家光の時代にあたります。

開基となったのは、戸田松平光重であり、彼は播磨明石から美濃加納へ転封され、住台寺の住職である祐加上人と共にこの寺院を建立しました。光重の姉である二の丸殿は彼の開基を支援した重要な人物です。彼女は戸田松平家の娘で、光重にとって異母妹にあたりますが、夫である上野七日市藩主・前田利意と離別後、家族の供養のためにこの寺を建立したと言われています。

戸田松平家の歴史

戸田松平家は、譜代に属し、初めて松平の名字を許された家系です。この家系は、徳川家康の異父妹である松姫との結婚を経て成立しました。家長の戸田康長には子が二人いましたが、早世した長男の跡を忠光が継ぎました。忠光は非常に期待されていた人物で、将軍家からの偏諱を受けましたが、彼が亡くなった後、次男の康直が家督を継ぎ、最終的に光重が後を引き継ぎました。

ここで注目すべきは、戸田松平家が公卿の一つである今城家と何代にもわたる婚姻関係を築いている点です。江戸時代には、高家寺の境内には本堂や観音堂、摩利支天鎮守堂などがあり、中山道の地図にも記されている重要なスポットでした。

境内の様子と仏像の奉納

高家寺の境内は、江戸時代の初期において周囲の人々に信仰されており、定期的に弘法市も開かれて賑わいを見せていました。特に弘法大師像の出開帳や、金縛り不動の伝説など、地域の信仰を集める様々な文化も生み出されました。

明治時代には、岐阜駅の建設に伴い一度移動され、戦後には全焼するものの、その後岐阜市鷺山に仮移設され、平成5年（1993年）に現在地に再び移転しました。近年も多くの仏像が奉納されており、特に銀杏弘法大師や、つるぎ大師など、信仰の証が引き継がれています。

現在の境内と社殿

現在の高家寺の敷地は約600坪に及び、本堂や山門、庫裏、水掛不動明王などが配置されています。また、真清田社を鎮守として、様々な神々が祀られています。さらに、「高家」という名前にはかつての貴族の名残が見られ、この寺院の歴史的背景を物語っています。

高家寺はその長い歴史と文化的価値から多くの人々にとって重要な場所であり、今後もその伝統を守りながら、岐阜の一部としての役割を果たしていくことでしょう。

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