高射第3師団 (日本軍)

高射第3師団について

高射第3師団は、1945年4月に大日本帝国陸軍の師団として編成されました。この師団は、中部高射砲集団を改編して創設され、主として阪神地区を中心とする政治、軍事、軍需の中枢を防衛する重要な役割を担いました。

編成と展開

高射第3師団は、阪神地区の防衛を主目的としていましたが、その配備は広範囲に及びました。具体的には、敦賀、宇部、高松、新居浜、吹田、枚方、京都などにも部隊が展開されました。これらの地域は、当時の日本の重要な拠点であり、高射第3師団はこれらの地域を防衛することで、国土全体の防衛体制を強化しようとしました。

しかし、戦局が悪化するにつれて、空襲の脅威は増大しました。1945年7月には、大阪や神戸が大規模な空襲により焼け野原となり、これらの地域に配置されていた部隊の一部は、被害の少なかった京都や広島に移動しました。特に広島には派遣中隊の一部が到着したばかりの段階で、原爆が投下され、大きな被害を受けました。

終戦と復員

高射第3師団の活動期間は、非常に短いものでした。1945年8月15日に終戦を迎えると、同師団は同年9月11日に復員しました。実質的な活動期間は約5ヶ月という短さであり、その間、本土防衛のために奮闘しましたが、その短い活動期間は、戦争末期の混乱を象徴するものでもあります。

師団の概要

高射第3師団の師団長は、河合潔少将が務めました。師団の司令部構成は以下の通りです。

参謀：森山元中佐
参謀：多羅尾光孝少佐
参謀：三品幸三郎少佐

所属部隊は以下の通りです。

高射砲第121連隊（大阪）：樋口易信大佐
高射砲第122連隊（大阪北部）：五峯作一大佐
高射砲第123連隊（神戸）：山岡重孝中佐
独立高射砲第11大隊（尼崎）：小木節三中佐
独立高射砲第13大隊（大阪）：藤野毅一中佐
独立高射砲第22大隊：加藤恒太少佐
独立高射砲第45大隊：富田洋平少佐
機関砲第11大隊：前田俊夫少佐

これらの部隊は、それぞれが担当区域の防空任務にあたり、連日のように行われる空襲に対し、可能な限りの抵抗を試みました。

まとめ

高射第3師団は、短い期間ではありましたが、本土防衛という重要な任務を担い、その役割を果たしました。しかし、その活動期間の短さ、そして終戦という時代の流れの中で、その活動は十分に記録されることもなく、忘れ去られようとしています。この記述が、高射第3師団の歴史を後世に伝える一助となれば幸いです。

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
『別冊歴史読本 戦記シリーズNo.32 太平洋戦争師団戦史』、新人物往来社、1996年。

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧
* 日本本土空襲

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