高尾 (ブドウ)

高尾（ブドウ品種）

高尾は、巨峰の実生から選抜・育成された種無しブドウの品種です。東京都農業試験場（現・東京都農林総合研究センター）の芦川孝三郎氏によって育成され、その名は東京都を代表する名山、高尾山に由来します。

特徴

高尾の果実は、開花期のジベレリン処理（GA処理）によって、7～8グラム程度の楕円形になります。GA処理を行わない場合は、4～5グラム程度の円形です。整形された果房は400～500グラム程度に成長します。

果粒の色は美しい紫黒色で、糖度は17～18%と高く、酸味が少ないのが特徴です。成熟期は育成地の東京都多摩地方において、8月下旬から9月上旬となります。

育成の経緯

高尾は、花振るいしやすいという巨峰の欠点を改良することを目的に開発されました。1956年秋より、芦川孝三郎氏によって巨峰の自然結実果から得られた約120粒の実生から育成が開始されました。

当初の研究目標は達成されませんでしたが、全系統についてジベレリン（GA）に対する反応を調べたところ、系統名「立川1号」と「立川3号」において容易に無核化できることが判明しました。

試験選抜の結果、「立川1号」は1971年に高尾と命名され、1975年1月28日に品種登録（育成者権）出願、登録番号第264号として農林種苗名称登録されました。

異数体

高尾は、異数体（4x-1）であることが確認されています。

参考文献

芦川孝三郎「ブドウの新品種"高尾"について」『育種學雜誌』第22巻第1号、日本育種学会、1972年2月、46-51頁、doi:10.1270/jsbbs1951.22.46、ISSN 05363683、NAID 110001815423
芦川孝三郎「ブドウの新品種「立川1号」の解説 ジベレリン処理用無核種」『農業技術』第23巻第4号、農業技術協会、1968年4月、180-181頁、ISSN 03888479、NAID 40018407128。
芦川孝三郎「無核ブドウ立川1号(新品種解説)」『農業および園芸』第42巻第7号、1967年7月、1121-1122頁、ISSN 03695247、NAID 40018397080。
比良松道一,若菜章 (1995). “胚珠・胚培養による異数体ブドウの作出(予報)”. 九州大学農学部農場研究資料 17巻: 14-15頁. ISSN 0386-3522.

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