高山善司

高山 善司（たかやま ぜんし）氏は、1962年4月24日生まれの日本の実業家です。地図情報の最大手である株式会社ゼンリンにおいて、第4代代表取締役社長を務めました。長崎県佐世保市出身で、佐世保西高等学校を経て、西南学院大学商学部を卒業しています。

1986年にゼンリンに入社した高山氏は、以後一貫して同社でのキャリアを歩みました。東京第二支社長や営業本部副本部長、経営戦略室長などの要職を歴任し、2006年には営業本部長に就任しています。この頃、リクルートとの業務提携および資本提携を取りまとめるなど、事業拡大に向けた重要な役割を担いました。2006年6月には取締役営業本部長となります。

そして2008年4月1日、高山氏はゼンリンの代表取締役社長に就任しました。これは、創業者である大迫正冨氏が事業を始めてから数えて60年の歴史の中で、4人目の社長となります。特筆すべきは、創業家以外からは初めての生え抜きによるトップ就任であった点です。当時の役員序列では10番目に位置していたところから、8人抜きでの抜擢であり、その年齢もわずか45歳という異例の若さでした。

この若年かつ生え抜きでのトップ登用は、発表当時、市場やメディアから大きな注目を集めました。日本証券新聞の一面で取り上げられるなど話題を呼び、就任発表後は株価が急反発し高水準となるなど、市場もこの人事に敏感に反応しました。背景には、創業家出身で元社長の大迫忍氏が「年を取ると老害になる」といった趣旨の発言をしていたことが西日本新聞の取材で明らかになるなど、社内に若返りや経営刷新を求める声があったことが挙げられます。

高山氏の社長就任は、ゼンリンにとって「脱・創業家」を含む「新たな挑戦のスタート」と位置づけられました。当時の会長であった原田康氏（2011年退任）も、読売新聞などの取材に対してこの認識を示しています。また、高山氏の社長就任に合わせて、創業家出身で当時副会長だった大迫正男氏（現会長）も代表権を返上しています。

経営者としての活動に加え、2019年には、住友電気工業会長（当時）の松本正義氏とともに、毎日新聞社より毎日経済人賞が贈られました。また、2018年8月9日には、テレビ東京系列の経済番組『日経スペシャル カンブリア宮殿』に出演し、ゼンリンの持つ技術や社会における役割について語っています。

高山善司氏の社長就任は、ゼンリンの歴史における重要な転換点であり、創業家から生え抜きへの経営移行という側面で、今後の日本企業のあり方にも示唆を与える事例として語られることがあります。ゼンリンは、高山氏のリーダーシップのもと、デジタル化の進展や多様化するニーズに対応するための変革を進めていきました。彼の経営哲学やリーダーシップは、同社の持続的な成長と進化に貢献したと言えるでしょう。

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