ゼンリン

会社概要

株式会社ゼンリン（ZENRIN CO., LTD.）は福岡県北九州市に本社を置く、地図情報の調査、制作、販売を行う日本の企業です。国内で最大手の地図情報会社として知られ、デジタル地図製作においても大きな役割を果たしています。自社で収集した情報を基に、住宅地図やGIS（地理情報システム）データを生産・販売し、他社にデジタル地図やカーナビ用データを供給しています。

歴史

創業と初期の活動

ゼンリンの起源は1948年にまで遡ります。創業者の大迫正冨は、大分県宇佐市出身で、友人と共に別府市で観光文化宣伝社を立ち上げました。初期は観光案内や宣伝を企画し、1950年に社名を善隣出版社に改め、住宅地図の制作にも着手します。正冨の手によって制作された地図は好評を博し、一層充実した内容となっていきました。

住宅地図の発行

1952年には『別府市住宅案内図』を発行し、次第に全国にその市場を広げていきました。1954年には福岡県小倉市に移転し、名称も住宅地図に改め、商業的にも成功を収めます。1980年には全国47都道府県において住宅地図の発行を開始し、全国展開を果たしました。

この家屋情報の収集活動は、現地調査に基づく厳密なデータ作成として知られ、「現代の伊能忠敬」と喩えられることもあります。

デジタル地図の進化

1980年代に入ると、2代目社長大迫忍の下、地図のデジタル化が始まります。1984年には日立製作所と共同で「住宅地図情報利用システム」を開発し、地図データの販売へと道を開きました。1988年にはCD-ROMにデータを収録した『Zmap電子地図』を市場に投入し、さらに1990年には世界初のGPS対応カーナビゲーションシステムを開発しました。この9年間でゼンリンは地方の出版業者からデジタル地図情報の国内最大手へと成長を遂げたのです。

現在の展望

近年では、自動運転技術やドローン用地図などの先進的な分野にも進出しています。自動運転共通基盤となる高精度の3D地図データを開発し、国内外の企業と協力しながら進化し続けています。近年は生活雑貨に地図デザインを用いる新しい市場にも挑戦しています。

また、ゼンリンは地域貢献の一環として、災害時用地図の備蓄を進めるなど、社会的責任にも力を入れています。

まとめ

ゼンリンの存在は地図情報のあり方を根本的に変え続けており、地図づくりの過程には情熱が宿っています。創業以来、現地での厳密な調査を重視し、デジタルとアナログ両方の地図情報を調和させていく企業姿勢は、高い評価を得ており、今後の展開にも期待が寄せられています。

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