高山正雄

高山正雄

高山正雄（たかやま まさお、1871年6月24日 - 1944年10月10日）は、日本の法医学者です。明治時代から昭和時代にかけて、法医学の発展に大きく貢献しました。特に指紋研究においては先駆者的な存在であり、裏指紋の研究・立証などでその名を馳せました。

生涯

1871年（明治4年）、現在の長野県塩尻市にあたる信濃国筑摩郡長畝村で生まれました。幼名は吉江正雄といいましたが、27歳の時に母方の養子となり、高山姓を名乗るようになりました。東京帝国大学医学部を卒業後、法医学の研究者としてキャリアをスタートさせました。

ドイツ留学を経て、京都帝国大学や九州帝国大学で教鞭を執り、後進の育成に尽力しました。1919年には九州帝国大学医科大学長に就任、その後長崎医科大学長、九州帝国大学総長を歴任するなど、教育行政の分野でも活躍しました。また、法医学者としての知識と経験を活かし、小笛事件など、数々の事件の鑑定にも携わりました。

1944年（昭和19年）、福岡県福岡市で74歳で亡くなりました。その功績を称えられ、正三位、勲二等旭日重光章が贈られました。

人物像

高山正雄は、頭脳明晰で非常に真面目な人物として知られていました。その人柄と手腕は、当時の大学関係者からも高く評価されており、長崎医科大学や九州帝国大学で発生した事件の後処理にも尽力しました。また、質素な生活を好み、弟子たちからは「色白で鼻筋通り金がなし」と評されていたという逸話も残っています。早稲田大学教授でフランス文学者の吉江喬松とは従兄弟であり、生家は隣同士でした。現在、生家跡地には高山正雄の功績を記した石碑が建てられています。また、夢野久作の小説『ドグラ・マグラ』に登場する法医学者の若林博士のモデルの一人とも言われています。

主な業績

指紋研究の先駆者として、裏指紋の研究・立証に貢献
長崎医科大学長、九州帝国大学総長を歴任
小笛事件など、数々の事件の法医学鑑定を担当

略歴

1871年（明治4年）- 伊那県信濃国筑摩郡長畝村（現：塩尻市）にて出生。
1887年（明治10年）6月 - 松本の開智学校へ入学。
1897年（明治30年）9月 - 東京帝国大学医学部卒業（銀時計授与）。
1898年（明治31年）1月 - 第四高等学校（医学部）教授。
1899年（明治32年）4月 - 東京帝国大学医科大学助[[教授]]。
1903年（明治36年）6月～1906年（明治39年）8月 - 法医学研究のため、ドイツへ留学
1903年（明治36年）12月 - 京都帝国大学・福岡医科大学助[[教授]]。
1906年（明治39年）8月 - 京都帝国大学・福岡医科大学教授、法医学講座主任。
1911年（明治44年）6月 - 九州帝国大学医科大学教授、法医学講座主任。
1914年（大正3年）6月 - 勲五等瑞宝章。
1915年（大正4年）10月 - 勲四等瑞宝章。
1919年（大正8年）1月 - 九州帝国大学医科大学長。
1919年（大正8年）10月 - 勲三等瑞宝章。
1926年（大正15年）11月 - 勲二等瑞宝章。
1931年（昭和6年）8月 - 九州帝国大学名誉教授。
1934年（昭和9年）2月 - 長崎医科大学長。
1936年（昭和11年）7月 - 九州帝国大学総長。
1944年（昭和19年）10月10日 - 福岡県福岡市で死去。

栄典

1919年（大正8年）1月10日 - 従四位

参考文献

昭和6年、九州帝國大學醫學部寫眞帖（卒業アルバム）
レファレンス共同データベース
五千石街道
五千石街道 坂道散歩
* 小笛事件

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