高山辰雄

高山辰雄:日本画界の巨匠



高山辰雄(たかやま たつお、1912年6月26日 - 2007年9月14日)は、日本画家として日本の美術界に大きな足跡を残した人物です。彼は文化勲章を受章したことでも知られ、その作品には独特の幻想的なスタイルが色濃く表れています。

生い立ちと教育



大分市に生まれた高山は、1931年に東京美術学校(現在の東京藝術大学)日本画科に入学し、1936年に卒業しました。在学中、彼は松岡映丘に師事し、彼のもとで画技を磨きました。卒業制作である「砂丘」は、俯瞰的に描かれたセーラー服の女性を描いた洋画風の作品で、後の高山の作品とは異なるスタイルを見せています。

影響と作風の変化



戦後間もない1946年、高山はポスト印象派の巨匠ゴーギャンの伝記に触れ、強く感銘を受けます。この影響により、彼の作風は大きく変わり始めました。特に「浴室」という作品は、第2回日展に出品され特選を獲得し、高山の名を広めるきっかけとなりました。1949年には「少女」を発表し、再度特選に選ばれ、彼の幻想的な画風が確立されていくことになりました。

受賞歴と活動



高山は、その後も数々の賞を受賞し続けました。1960年には「白翳」で日本芸術院賞を受賞し、続けて1964年には「穹」で芸術選奨文部大臣賞、1970年には日本芸術大賞を受賞しています。また、1972年には日本芸術院の会員に選ばれ、さらに1975年から1977年まで日展の理事長を務めました。彼の功績は、1979年に文化功労者として顕彰され、1982年には文化勲章も授与されました。

展覧会と名誉



高山は、1985年に5つの都市で「日月星辰-高山辰雄展1985」を開催し、彼の多様な作品を披露しました。また、1990年の秋には、大分県が主基国に選ばれた平成の大嘗祭において、風俗考証画を制作しました。故郷の大分県では「高山辰雄賞ジュニア県美展」と称される賞が設けられ、彼の名を後世に伝えています。

主な作品と著書



高山の代表作には、名作「砂丘」や「浴室」、さらには1985年の屏風絵「日」「月」があります。2001年の「草原の朝」も彼の重要な作品の一つです。また、高山は多くの著作を残しており、画集や専門書を通じて彼の画業に対する思いが反映されています。

最晩年



高山は2007年に95歳で亡くなるまで、創作活動を続けました。彼の作品は今なお多くの人々に愛されており、彼が日本画界に与えた影響は計り知れません。長女である高山由紀子も作家として活動し、父の思い出を綴った回想録を出版しています。

高山辰雄の名は、これからも日本の美術史に刻まれ続けることでしょう。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。