高崎正治

髙﨑正治：独自の建築哲学「物人建築」で世界を繋ぐ建築家

髙﨑正治氏は、鹿児島県出身の建築家、地域計画家であり、物人建築の主宰者、京都芸術大学教授、そして王立英国建築家協会名誉フェローという輝かしい経歴を持つ人物です。14歳という若さで建築の道へ進み、以来、独自の建築哲学「物人建築」を基軸に、国内外で精力的に活動し続けています。

経歴と活動

髙﨑氏の建築家としてのキャリアは早く、14歳で「瞑想真」を発表。その後、1975年には「物こそ人なれ」という精神に基づき「物人・Monobito宣言」を発表、物人建築を創始しました。

ヨーロッパでの活動も盛んで、シュトゥットガルト大学やグラーツ工科大学での教授との協働を通して西洋建築の歴史と伝統を学びました。ヨーロッパ、ペルシャ、アジアの文明を繋ぐ「海のシルクロード建築構想」という平和プロジェクトを構想し、設計活動にも反映させています。1978年にはロンドンAAスクールで展覧会を開催し、建築家として本格的にデビューを果たしました。その後、TAKASAKI物人研究所、髙﨑正治都市建築設計事務所を設立し、建築家としての活動を拡大。さらに、国際物人協会、国際自由建築大学を設立し、次世代の建築家の育成にも力を注いでいます。

2001年には、王立英国建築家協会から名誉フェローの称号とジェンクス賞を受賞。その業績は高く評価され、アメリカCNN放送で特集が組まれたり、ニューヨークの出版社から作品集が出版されたりと、国際的な注目を集めています。

東日本大震災後には、被災地支援活動として「こころシェルタープロジェクト」を開始。原発20キロ圏内で避難所となる住まいを建設し、世界的な建築雑誌にも取り上げられました。この活動は、東北大学TEDxTohoku2011でも講演され、YouTubeで公開されています。

長年にわたる建築活動は、2020年の第20回日本建築家協会25年賞受賞にも繋がりました。現在も、ヨーロッパ各地での個展や講演会など精力的に活動を続けています。

物人建築：独自の建築哲学

髙﨑氏の建築哲学の中核をなすのが「物人建築」です。「物に人の心を宿す」という精神に基づき、「環境生命体の建築」を提唱。人間精神の生命活動と自然との調和を重視し、天空と大地、そして心の宇宙に響く建築を目指しています。

その建築理念は、3つのプロジェクトに集約されています。

天人プロジェクト: 神聖さ、聖性、宇宙意識を基調とした空間創造
風人土人プロジェクト: 生活の継続性とコミュニティを重視した空間創造
心人プロジェクト: 心の対話と人としての尊厳を重視した空間創造

これらの理念は、氏の作品一つ一つに息づいています。

主な作品

髙﨑氏の作品は多岐に渡り、住居から公共施設、コミュニティ施設まで幅広く手がけています。

瞑想真ノイエ: 14歳当時の作品
母胎ノイエ: 19歳当時の実験住宅
マールランド: ドイツ時代の作品
コミュニティーノイエ: 東日本大震災後の複合施設
ひなたぼっこノイエ: 児童施設・住居
南心館: 美術館・住居
輝北天球館: コミュニティ施設
天地のいえ: TASCHEN世界建築年鑑に選出された木造住宅
こころシェルター: 東日本大震災復興建築プロジェクト

これらの作品は、いずれも髙﨑氏の建築哲学を反映した、独創的で深みのある空間となっています。

まとめ

髙﨑正治氏は、独自の建築哲学「物人建築」を世界に発信し続ける建築家です。その活動は、建築の枠を超え、社会貢献、人々の心の豊かさへと繋がっています。彼の作品は、私たちに自然と共存し、心を育む建築の可能性を示唆しています。今後の活動からも目が離せません。

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