高木作右衛門

高木作右衛門について

高木作右衛門（たかぎ さくえもん）は、江戸時代前期に活躍した長崎の町年寄であり、その名は高木家の後継者たちによって引き継がれました。彼の屋敷は勝山町に位置しており、これは元々長崎代官末次平蔵の邸宅でしたが、平蔵の失脚後に高木氏がその邸宅を賜りました。

初代作右衛門の生涯

初代の作右衛門忠雄は、最初は勘右衛門と名乗り、肥前国高木荘から長崎へ移住しました。この移住の背景には、長崎が開港した永禄から元亀年間にかけての経済的・社会的変革がありました。彼は町の中心的な役割を果たし、朱印船貿易を通じて富を築くこととなります。文禄元年には、豊臣秀吉により町の役人が町年寄と改称され、この役職は以後長崎の町政を担う重要な地位となりました。

忠雄は、慶長12年に駿府で長崎奉行の小笠原一庵の不正を証言することで、彼の失脚に貢献しました。当初はキリシタンであった忠雄ですが、寛永3年に発表されたキリシタン禁令の際、彼はキリスト教から仏教への改宗を選択しました。この改宗は、当時の長崎社会での信仰の選択を示す興味深い例といえます。

しかし、彼の生涯では多くの波乱がありました。寛永5年、忠雄が送り出した朱印船がフィリピンのスペイン艦隊によって攻撃され、船員57人が連行される事件が起こりました。この出来事は、幕府の朱印状を守るための新しい制度、奉書船制度の設立を促しました。

また、高木作右衛門は長崎の出島建設に関与した25人の町人の一人でもあり、出島町人としての役割も果たしました。

高木家の歴代当主

高木作右衛門の後を継いだ2代目、3代目と続く作右衛門たちも町年寄としての役割を果たしました。2代目作右衛門忠次は、寛文2年に御用物役に就任し、3代目作右衛門宗能も町政に尽力しました。4代目以降も高木家は長崎の町政に深く関与し、5代目の作右衛門宗音は延宝3年に町年寄職を他家に譲るなど、変遷を見せました。

8代目の作右衛門忠與は、1739年に長崎代官へと就任しており、幕臣としての地位も得ました。9代から12代までの作右衛門たちも、それぞれ長崎の発展に寄与し、長崎鉄砲方としての役割も果たしました。

また、高木家の別家として権左衛門が存在しました。彼は隠れキリシタンとして信仰を続け、幕末の浦上キリシタン運動の中心人物へと成長しました。

まとめ

高木作右衛門は、長崎における貿易と町政、さらにはキリスト教の歴史においても重要な役割を果たした人物です。彼の影響により、高木家は代々にわたり、長崎の発展に寄与していくことになります。その功績は、現在でも長崎の歴史の中で重要な位置を占めています。

もう一度検索