高木淳也

高木淳也：アクションスターから運動脳科学研究者へ至る波瀾万丈のキャリア

高木淳也氏は、日本の芸能界、政界、そして学術界において、類まれな多才ぶりを発揮してきた稀有な人物です。1965年福岡県生まれ。俳優、歌手、ジャーナリスト、映画監督、運動脳科学研究者、そして元政治家という、実に多彩な肩書きを持ち、その経歴はまさに波瀾万丈と言えるでしょう。

彼のキャリアの出発点は、4歳から始めた空手でした。警察官を目指して始めた空手は、やがて彼の運命を大きく変えることになります。中学生時代には極真空手福岡道場分支部の指導員を務めるなど、早くからその才能を開花させました。しかし、足の怪我をきっかけに警察官の道を断念。1981年、千葉真一氏が主宰するジャパンアクションクラブ（JAC、現在のジャパンアクションエンタープライズ・JAE）に入団します。

JACでは、真田広之氏、黒崎輝氏と共に「JAC御三家」の一人として活躍。16歳でJAC空手部門コーチに就任し、その後17歳でテレビドラマ『魔拳!カンフーチェン』で主演デビューを果たします。同作は、ジャッキー・チェンの作品を意識して制作されたという説もありますが、制作サイドはリー・リンチェイ（現ジェット・リー）主演映画『少林寺』をモチーフとしていたとコメントしています。

その後も、映画『伊賀野カバ丸』で黒崎輝氏、真田広之氏と共に主演を務め、ダイビングなど大掛かりなアクションシーンを成功させました。同映画の主題歌『青春まるかじり』は、3人で歌い、全国ツアーを行うなど、俳優業のみならず、歌手としても成功を収めました。

19歳でJACを退団した後、高木氏は単身アメリカへ渡り、ハリウッドで活躍を目指します。海外主演映画第一弾『忍者&ドラゴン』では、撮影中に右足副側靭帯切断、膝蓋骨骨折という大怪我を負いながらも、撮影を最後までやり遂げるなど、並々ならぬ努力と情熱を見せつけました。同作品は、アメリカやヨーロッパを中心にDVD販売や衛星放送で公開されていますが、日本では未公開となっています。

俳優業のかたわら、高木氏はジャーナリストとしても活動を始めます。ヤクザ、ストリートギャング、マフィアなど、アンダーグラウンドの世界を専門に雑誌に寄稿。アメリカ最大のストリートギャング「クリップス」、「ブラッズ」のドラッグ戦争の最前線をレポートしたドキュメンタリー作品は、米国LAPD（ロサンゼルス市警）や米国司法当局と協力して制作されたものです。

1999年には、福岡県芦屋町議会議員選挙に自由民主党公認候補として出馬し当選。最年少・最短で副議長に就任するなど、政治家としても活躍しました。その後、町長選に立候補するも落選しています。

俳優業にも復帰し、自身の原作作品を基にしたVシネマ『龍神 LEGENDARY DRAGON』では、脚本、監督、主演を務めました。北野武監督作品『TAKESHIS'』への出演なども経験しています。

2013年には、ハワイ州ホノルル市から武術のスペシャリストとして招聘され渡米。同市郡功績賞を受賞し、ハワイ州ホノルル市郡政府特別顧問にも就任しています。UFCジムでの日本人初のコーチやハワイ陸軍国家警備隊米兵コーチなど、様々な活動を通じて、アメリカでの活動を拡大しました。

近年は、運動脳科学研究に力を注いでいます。2021年には北九州学術研究都市に北九州学研都市・運動脳科学研究所を開設し、所長に就任。九州工業大学と共同研究を行い、2024年には大規模国際学会『NEURO2024』で『空手技実施時の脳血流量変化』についてポスター発表を行いました。

高木淳也氏の経歴は、アクションスターとしての華やかな成功にとどまりません。政治家、ジャーナリスト、そして研究者としての活動を通じて、常に新たな挑戦を続け、多様な分野で社会に貢献し続けているのです。アメリカと日本を行き来するデュアルライフを送りながら、これからも彼の活躍から目が離せません。

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