TAKESHIS'

映画『TAKESHIS'』の概要

『TAKESHIS'』（タケシズ）は、著名な日本の監督北野武が手がけた12作目の映画です。この作品は、2005年に開催された第62回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されました。映画のキャッチコピーには「500% KITANO」、「たけしがたけしを演じる」、「『たけし』が『たけし』に出会う」というフレーズが使われ、観客の興味を引きました。

あらすじ

物語の中心には、役者としてのキャリアに恵まれない北野という人物がいます。彼はコンビニで店員として働きながら生活を支えています。対照的に、著名な芸能人ビートたけしは、非常に成功し裕福な生活を送っているのです。それほど似た顔を持つ二人は、ある日偶然出会います。しかし、その日から北野の運命は変わり、彼はビートたけしが演じる映画の世界に次第に足を踏み入れていくのです。

主なキャスト

この映画には、ビートたけしが北野役およびビートたけし役を一人二役で演じることが大きな特徴です。その他、京野ことみ、岸本加世子、大杉漣、寺島進、美輪明宏など多彩なキャストが揃い、映画を引き立てています。

スタッフ

監督は北野武が務め、製作はバンダイビジュアル、TOKYO FM、電通、テレビ朝日、オフィス北野の協力のもとで進められました。衣装は山本耀司が担当し、音楽はNAGI（掛川陽介・藤川祥虎）が手がけています。

作品解説

北野武はこの映画に関して、「100人の評論家が見ても、7人しか理解できない映画」と述べており、その難解さを自ら認めています。また、映画に関する情報を事前に公開しなかった理由について、「内緒で撮っていた」と語ったことからも、独自の制作方針が感じられます。この作品のアイデアは、北野が監督を務めた『ソナチネ』の時期から温めていたもので、初期の仮タイトルは『フラクタル』でした。映画の主人公はタクシー運転手を考えていたとのことです。

彼は自身の映画が、日本での芸術的評価との乖離から生じる悩みの中で製作したと明かしています。それゆえ、『TAKESHIS'』は彼の個人的な葛藤を反映した作品であり、自身を壊していく過程を映し出したものとも言えます。

公開及び評価

『TAKESHIS'』は2005年のヴェネツィア国際映画祭で監督や作品名を伏せた状態で初めて上映され、後にその実験的な手法が観客や批評家の間で賛否を分けました。特に、幻覚的な描写や奇妙なシーンが多く含まれており、視覚的にも刺激的な体験を提供しています。

受賞歴

受賞歴としては、第15回東京スポーツ映画大賞で主演男優賞（ビートたけし）および助演男優賞（寺島進）を受賞するなど、高い評価が得られました。また、2005年度文春きいちご賞では第2位に選ばれました。

『TAKESHIS'』は、映画ファンにとっては独特な視点と深いメッセージを持つ作品として記憶に残ることでしょう。

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