高松公園

高松公園：歴史と自然が織りなす盛岡の憩いの場

高松公園は、岩手県盛岡市高松地区に位置する、高松の池を中心とした広大な公園です。春には、日露戦争の戦勝を記念して植樹された桜が咲き誇り、その美しさは「日本さくら名所100選」にも選ばれるほど。

高松の池：スケート場から野鳥の楽園へ

公園の中心となる高松の池は、かつては冬季に凍結し、スケート競技の会場として利用されていました。1948年（昭和23年）の国体では、この池でスケート競技が行われた記録が残っています。しかし、近年は氷の厚さが薄くなり、スケート場としての利用は不可能となっています。

現在では、高松の池は数多くの野鳥たちの飛来地として知られています。特に冬には、白鳥をはじめとするカモ類や様々な冬鳥が、夏にはヒタキ科の鳥やバンなどが飛来し、四季を通じて変化に富んだ野鳥観察が楽しめます。近年では、オシドリも定着し始め、SNS上で「ラムちゃん」と呼ばれ親しまれています。過去には、オオホシハジロ、ハクガン、シジュウカラガンなどの珍しい鳥類の飛来も記録されています。

歴史と変遷：盛岡城下町から憩いの公園へ

高松公園の歴史は古く、1597年（慶長2年）に南部信直が盛岡城の築城を開始したことにまで遡ります。1661年（寛文元年）から1673年（寛文13年）にかけて、盛岡城下の北西側の湿地帯に上田組町が建設された際、治水対策として上田に三段の堤防が築かれました。その中堤が、現在の高松の池の起源となっています。当初は灌漑用水としての役割は限定的でしたが、上田周辺の水田開発に利用されました。

1889年（明治22年）の町村制施行により、高松の池周辺は岩手郡米内村の一部となりました。1892年（明治25年）には上田堤の開発計画が開始され、松、ツツジ、梅などが植えられ、屋形船も浮かぶなど、公園としての整備が始まりました。

日露戦争の勝利を記念して、1906年（明治39年）には地元有志が「栽桜会」を結成し、ソメイヨシノ1000本の苗木が植樹されました。大正時代頃には、南部家の鷹狩り場であったことや松林の美しさから、現在の「高松の池」という名称に改称されました。この命名には、当時の盛岡市長である北田親氏と大矢馬太郎氏（元盛岡市長）が関わっています。

1922年（大正11年）には公園整備計画が策定され、約2年かけて四阿や園路などが整備されました。1928年（昭和3年）には盛岡市と米内村が合併し、高松の池は盛岡市の管理となりました。その後も、高松振興促進会の活動や、国体の開催などを通じて、公園整備は継続的に進められました。1984年（昭和59年）からは白鳥の餌付けが始まり、多くの白鳥が飛来するようになりました。1989年（平成元年）には、日本さくら名所100選に選ばれ、その名声を確固たるものとしました。

高松公園と盛岡の歴史

高松公園は、盛岡の歴史と深く関わっています。かつて公園内には盛岡競馬場があり、「黄金競馬場」と呼ばれた時代もありました。また、映画「力道山」の一部のシーンも高松公園で撮影されています。

まとめ

高松公園は、桜の名所としての美しさ、野鳥の宝庫としての豊かさ、そして歴史的背景とが一体となった、盛岡を代表する公園です。四季折々の自然と歴史に触れられる、魅力あふれる場所と言えるでしょう。

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