高梨政盛

高梨政盛：信濃の戦国武将、高梨氏の全盛を築く

高梨政盛（たかなし まさもり）は、室町時代後期から戦国時代にかけての武将で、信濃国（現在の長野県）中野を拠点とした国人・高梨氏の全盛期を築いた人物として知られています。また、上杉謙信の曽祖父（または大叔父）にあたるとも伝えられています。

生涯

高梨氏は、信濃国中野小館を本拠地とする国人領主でした。政盛は、康正2年（1456年）に高梨政高の子として誕生しました。父・政高と同様に、室町幕府8代将軍・足利義政より偏諱を受け、政盛と名乗るようになりました。

明応4年（1495年）、善光寺を巡って村上政清との間で争いが起こり、この戦いで善光寺が焼失するという事態を招きました。この際、政盛は子の澄頼とともに善光寺の本尊を本拠地へ持ち帰ったとされています。この事件は、当時の戦国時代の混乱を象徴する出来事の一つと言えるでしょう。

永正4年（1507年）、政盛は外戚関係にあった長尾為景が、上条定実を擁して上杉房能に謀反を起こした「永正の乱」に加担します。政盛は為景と共に房能を自害に追い込み、さらに、房能の実兄である関東管領・上杉顕定が為景討伐のために越後国へ侵攻した際にも為景に同心しました。永正7年（1510年）の長森原の戦いでは、顕定を自害に追い込むなど、長尾為景の勝利に大きく貢献しました。この一連の戦いは、越後国における戦国時代の幕開けを告げるものでした。

その後も、政盛は勢力を拡大し、中野の旧領主であった中野氏を滅ぼすなど、高梨氏の勢力を拡大していきました。しかし、永正10年（1513年）に死去し、その後の高梨氏は子の澄頼が継ぐこととなります。

政盛と長尾為景の関係については、34歳という年齢差から、外孫であるという説もある一方で、甥である可能性が高いという説もあります。

その他

地元には、黒姫伝説という伝承が残っており、その中で政盛は、黒姫の父である高梨摂津守政盛として登場します（ただし、政盛ではなく政頼が登場する伝承も存在します）。この伝説は、地域の人々にとって政盛が重要な存在であったことを示していると言えるでしょう。

関連事項

高梨氏館（国の史跡）：別名・中野城とも呼ばれる高梨氏の居館。政盛が建設に着手し、子の政頼の代に完成しました。中野氏の居館跡を改修して高梨氏の居館を整備したと考えられており、高梨氏の権勢を象徴する史跡です。
鴨ヶ嶽城：政盛が築城した高梨氏の詰めの城です。有事の際には、高梨氏一族が立て籠もったとされています。
* 黒姫伝説：地元に伝わる伝承で、黒姫は政盛の娘とされています。この伝説は、高梨氏と地域との結びつきを物語っています。

高梨政盛は、戦国時代の激動期において、信濃国北部で勢力を拡大し、高梨氏の全盛期を築いた武将です。その生涯は、戦国時代の地方領主のあり方を象徴しており、様々な伝説とともに、今日まで語り継がれています。

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