高橋望

高橋望：アニメ映画界を支えるプロデューサー

高橋望（たかはし のぞむ）は、1960年10月4日生まれ、東京都出身のアニメ映画プロデューサーです。現在は日本テレビ放送網映画事業部専任部次長を務める傍ら、三鷹の森ジブリ美術館シニアアドバイザーや特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構研究員としても活躍しています。

生い立ちとキャリアのスタート

高橋氏は、福岡市立平尾中学校、福岡県立筑紫丘高等学校を経て、一橋大学社会学部に進学しました。高校時代は文芸部に所属し、大学ではSF研究会で活動するなど、幼少期から文芸やサブカルチャーに親しんでいました。1983年4月に徳間書店に入社し、雑誌編集者としてのキャリアをスタートさせます。「テレビランド」「アニメージュ」「4WDフリーク」といったジャンルの異なる3誌で編集に携わり、幅広い知識と経験を積みました。

スタジオジブリでの活躍

1989年10月、高橋氏はアニメ雑誌「アニメージュ」の元編集長であり、当時スタジオジブリでプロデューサーを務めていた鈴木敏夫氏の誘いを受け、スタジオジブリに出向します。宮崎駿監督の『天空の城ラピュタ』や『となりのトトロ』などのヒット作を手がけていたジブリで、鈴木氏の右腕として『おもひでぽろぽろ』、『紅の豚』、『平成狸合戦ぽんぽこ』、『耳をすませば』、『ホーホケキョ となりの山田くん』、『千と千尋の神隠し』といった数々の名作の制作に携わりました。また、『海がきこえる』、『猫の恩返し』、『ギブリーズ episode2』ではプロデューサーとして作品を支えました。

特に『海がきこえる』では、ヒロイン・武藤里伽子の配役が難航しましたが、劇団「お伽座」に所属する女優・坂本洋子の演技に感銘を受け、出演交渉の末、坂本を起用することに成功しました。

1995年に徳間書店を退社後は、コンピュータ雑誌『月刊CYBiZ』の編集長を務めましたが、1998年に鈴木敏夫氏の誘いで徳間書店に再入社。徳間書店スタジオジブリ事業本部で要職を歴任し、スタジオジブリの創設者である徳間康快氏の葬儀では司会進行役を務めるなど、ジブリとの深い関わりを維持しました。

細田守監督との出会い

2000年には、東映動画の細田守監督がスタジオジブリで映画『ハウルの動く城』を監督することになり、高橋氏がプロデューサーに就任しました。当初は鈴木敏夫氏がプロデューサーを務めていましたが、企画が難航したため、高橋氏が引き継ぐことになりました。高橋氏は美術や作画スタッフを連れてイギリスへのロケハンも行いましたが、2002年に細田版『ハウル』の制作は中止となりました。

『ハウル』制作中止後、高橋氏は鈴木敏夫氏の紹介で日本テレビへ出向し、2005年に転籍。日本テレビでは、コンテンツ事業局映画事業部プロデューサーを経て、映画事業部担当部次長、同部専任部次長に就任しました。

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」と細田守作品

2005年秋頃には、『新世紀エヴァンゲリオン』のリメイク企画が立ち上がり、庵野秀明監督が個人事務所を設立する際に高橋氏が協力。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」を制作したスタジオカラーの設立に貢献しました。また、2008年には、マッドハウスの齋藤優一郎氏から細田守監督の映画『サマーウォーズ』の企画を持ちかけられ、高橋氏は過去の『ハウル』での罪滅ぼしの意味も込め、プロデューサーとして参加しました。

その後も、高橋氏は日本テレビ映画事業部で、『おおかみこどもの雨と雪』、『バケモノの子』、『未来のミライ』など、細田守監督の作品を数多く手がけ、その才能を最大限に引き出す役割を果たしました。

2011年には、細田守監督のアニメ制作会社スタジオ地図の立ち上げにも関わり、2017年には特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構の発起人となり、同機構の研究員を経て、2024年には理事に就任するなど、アニメ業界の発展に大きく貢献しています。

高橋望の功績

高橋望氏は、スタジオジブリでの経験を活かし、細田守監督をはじめとする多くのアニメ監督を支え、数々の名作を世に送り出してきました。その幅広い知識、豊富な経験、そしてプロデューサーとしての手腕は、アニメ業界においてなくてはならない存在となっています。また、アニメ作品の保存・研究にも力を入れており、アニメ文化の継承にも貢献しています。

高橋氏の今後の活躍は、アニメ業界のみならず、多くのファンから期待されています。

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