高橋良 (陸軍軍人)

高橋 良（たかはし まこと）

高橋 良（1886年12月26日生 - 1974年11月9日没）は、明治から昭和にかけての時代を生きた、大日本帝国陸軍の軍人であり、太平洋戦争末期には陸軍司政長官としてもその職務を担った人物です。長野県の出身で、最終的な階級は陸軍少将でした。その軍功に対しては、功三級が授与されています。

高橋は、陸軍士官学校の第19期生として軍人の道を歩み始めました。卒業後、歩兵科の将校として各地を転任し、キャリアを重ねていきます。大正6年（1917年）8月には陸軍歩兵大尉へと昇進。大正12年（1923年）9月時点では、歩兵第58連隊に所属していました。大正13年（1924年）8月には陸軍歩兵少佐に進み、翌大正14年（1925年）4月には歩兵第50連隊に配属され、併せて長野県師範学校での勤務も経験しています。これは、軍人が学校教育に関わる事例の一つと言えるでしょう。昭和2年（1927年）3月には、歩兵第50連隊で大隊長を務めることになり、部隊の指揮官としての経験を積みました。その後、昭和3年（1928年）8月には第14師団に属する歩兵第28旅団の副官に就任し、幕僚業務にも携わります。昭和4年（1929年）8月には陸軍歩兵中佐に昇進し、再び歩兵第50連隊に配属されますが、翌昭和5年（1930年）8月には再び第14師団に戻り、師団の副官を務めました。

昭和9年（1934年）8月、高橋は陸軍歩兵大佐に昇進すると同時に、水戸連隊区司令官として任地に赴任しました。ここでは、主として兵役や補充に関する後方業務の責任者となりました。昭和11年（1936年）3月には、台湾に派遣され、台湾守備隊司令部の指揮下にある台湾歩兵第2連隊長に転任。海峡に面した地域での守備任務に就きました。

昭和12年（1937年）に日中戦争が勃発すると、高橋の経歴にも大きな転機が訪れます。同年9月7日付で動員が下令され、高橋は重藤支隊の一員として中国大陸の上海方面へ出動しました。激しい戦闘が繰り広げられる中、同年11月26日に無錫において戦傷を負います。この負傷は彼の軍歴に影響を与え、昭和13年（1938年）7月には陸軍少将に昇進したものの、同時に台湾軍司令部附となり、第一線の部隊からは離れることになりました。さらに、同年8月20日には待命となり、わずか10日後の8月31日には予備役に編入されました。これは、戦傷の影響が大きかった可能性が推測されます。

予備役編入から約4年後、太平洋戦争中の昭和17年（1942年）7月3日、高橋は陸軍司政長官に任命されました。これは、日本軍が占領した東南アジア地域などで、軍政を補佐するために設置された文官的な役職です。同年8月15日には、当時のオランダ領東インドの一部であったブスキ州（現在のフィリピン南部、ミンダナオ島の一部）の長官として現地に赴任し、占領行政の実務を指揮しました。終戦が近づく昭和20年（1945年）3月1日には、同じくオランダ領東インドであったマラン州（現在のインドネシア、ジャワ島東部）の長官に転任し、日本の敗戦を迎えるまでその任にありました。

第二次世界大戦終結後、高橋良は日本へ帰国し、静かに余生を送りました。昭和49年（1974年）11月9日、老衰のため、87歳でその生涯を閉じています。

栄典としては、昭和15年（1940年）8月15日に、紀元二千六百年を記念して授与された祝典記念章を受けています。

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