歩兵第50連隊

歩兵第50連隊

歩兵第50連隊は、大日本帝国陸軍の連隊の一つであり、山地踏破訓練を重視した山岳部隊として知られています。その歴史は、日露戦争から太平洋戦争終結まで、激動の時代を駆け抜けました。

沿革

1905年（明治38年）に編成が下令され、連隊本部と第2大隊は仙台、第1大隊は東京、第3大隊は村松で編成されました。同年4月15日には軍旗を拝受し、7月2日には樺太に派遣されました。その後、ポーツマス条約締結後は一時台湾の守備に就き、1906年（明治39年）4月には韓国に派遣されました。

1908年（明治41年）に帰還後、11月3日に松本へ転営し、独立第13師団から第13師団に所属が変更されました。1913年（大正2年）には南満州に駐在し、その後のシベリア出兵にも出動しています。1917年（大正6年）には、約800名規模で乗鞍岳、槍ヶ岳縦走訓練を成功させました。

1925年（大正14年）5月1日、宇垣軍縮により第13師団が廃止されたため、第14師団に所属が変更されました。1927年（昭和2年）8月には満州に駐剳し、関東州柳樹屯に駐屯しました。1928年（昭和3年）5月には山東出兵に出動し、1929年（昭和4年）4月に帰還しました。1931年（昭和6年）には満州事変に出動、1934年（昭和9年）5月に帰還しています。

1937年（昭和12年）8月14日に動員下令があり、塘沽に上陸後、鉄道で移動し保定に到着、華北各地で作戦に従事しました。1938年（昭和13年）には徐州会戦に参加し、1939年（昭和14年）12月27日に帰還しました。

1941年（昭和16年）4月1日には、第14師団から第29師団に所属が変更され、4月16日には松本から満州遼陽へ移駐しました。1944年（昭和19年）2月10日には、中部太平洋への転用が決定し釜山へ移動、宇品経由でサイパン島へ向かいました。当初、歩兵第18連隊がテニアン島の守備に就く予定でしたが、輸送船への攻撃と混乱、損害のため、本連隊が代わりに上陸し、3月15日にテニアン島の守備に就きました。7月24日にはアメリカ軍が上陸（テニアンの戦い）し、8月2日には連隊長以下の残存兵約1,000名が最後の攻撃を行い玉砕しました。

特徴

歩兵第50連隊は、山地での戦闘能力を重視した訓練を重ねており、山岳部隊としての高い能力を持っていました。乗鞍岳や槍ヶ岳といった難所での訓練を成功させたことは、その実力を示す一例です。

戦歴

日露戦争から満州事変、日中戦争、そして太平洋戦争と、数々の戦場を経験しました。特に、テニアンの戦いでの玉砕は、その悲劇的な最期を物語っています。

参考文献

『日本陸軍連隊総覧 歩兵編（別冊歴史読本）』新人物往来社、1990年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
『官報』

関連項目

大日本帝国陸軍連隊一覧
テニアンの戦い
第13普通科[[連隊]] - 松本に駐屯する陸上自衛隊の普通科連隊。空中機動・山地機動を得意とする。

もう一度検索