高橋顕法

高橋 顕法（たかはし あきのり）

高橋顕法は、1975年1月24日に宮城県仙台市で生まれた元プロ野球選手です。現役時代は投手としてプレーし、引退後は指導者の道へ進み、現在は宮城教育大学硬式野球部の監督を務めています。

小学校2年生で野球を始めた高橋は、蒲町中学校を経て、仙台育英高校に進学しました。仙台育英高校は当時、春夏の甲子園大会に頻繁に出場する強豪校でしたが、高橋自身は高校時代に肘や腰の怪我に悩まされ続けました。このため、3年間を通じてベンチ入りすら叶わず、公式戦での登板機会は一度もありませんでした。高校卒業後、大学や社会人野球からの誘いは全くありませんでしたが、プロ野球選手になることを諦めきれず、最後の手段として広島東洋カープの入団テストを受験。ここで合格を勝ち取り、1992年のプロ野球ドラフト会議で8位という、その年のドラフトで最も遅い順位（全体78番目）で指名を受け、プロ入りを果たしました。この時、高橋は契約金を辞退するという異例の選択をしています。

広島でのプロ生活は3年間でした。しかし、一軍での登板機会はなく、二軍でも通算成績は0勝3敗、防御率9.79と苦しみ、目立った結果を残すことはできませんでした。この成績により、1995年に球団から戦力外通告を受けます。広島時代に指導を受けた古沢憲司氏の伝手を頼り、阪神タイガースの入団テストを受験したところ、再び合格。阪神へ移籍することになりました。

阪神移籍初年度の1996年、高橋は二軍でローテーションの一角を担い、6勝8敗1セーブ、防御率3.96と安定した成績を残します。この活躍が認められ、フレッシュオールスターゲーム（現在のジュニアオールスターゲーム）にも出場を果たしました。しかし、その後も一軍への定着は叶わず、一軍での初登板は移籍から3年目の1998年5月10日、阪神甲子園球場で行われた対ヤクルトスワローズ戦でした。この試合で9回から5番手として救援登板し、1回を無失点に抑え、ヤクルトの石井一久投手からプロ初奪三振を記録しました。しかし、この登板が自身にとって唯一の一軍出場となり、その年限りで阪神を退団し、任意引退選手となりました。

プロ野球界を離れた後は、故郷の仙台に戻り、家業であるスポーツ用品店を継ぎました。スポーツ店の経営に携わる傍らで、小中学生を対象としたソフトボールの指導などにもあたっていました。再び野球の指導者として本格的に現場に戻るきっかけとなったのは、2012年5月でした。仙台六大学野球連盟に加盟する宮城教育大学硬式野球部のコーチに就任するため、同年5月8日付で日本野球機構より自由契約選手として公示されました。その後、宮城教育大学の監督に昇格し、現在も学生野球の指導にあたっています。

プロでの実績は限られたものでしたが、高校時代の怪我やドラフト最下位からのプロ入り、戦力外を経ての他球団での再起、そして引退後の異業種への転身と、波乱に富んだキャリアを歩みました。現在は、その経験を活かし、教育者としての立場から学生たちの育成に力を注いでいます。

プロ野球時代の背番号は、広島時代が「69」（1993年 - 1995年）、阪神時代が「61」（1996年 - 1998年）でした。

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