高機動戦闘メカ ヴォルガードII

高機動戦闘メカ ヴォルガードII

『高機動戦闘メカ ヴォルガードII』は、1985年12月7日にデービーソフトから発売されたファミリーコンピュータ用横スクロールシューティングゲームです。2008年4月8日にはWiiのバーチャルコンソールでダウンロード配信が開始されました。

概要

本作は、FM-7対応ソフトとして登場し、後にPC-8800シリーズなど様々なパソコンに移植された『VOLGUARD（ヴォルガード）』（1984年）の続編にあたります。世界観に直接的な繋がりはありませんが、プレイヤー機が変形合体ロボットである点や、エネルギー残量がプレイに影響を与える点など、基本的なシステムは継承されています。

プレイヤーは変形合体ロボット「ヴォルガードII」を操作し、巨大コンピュータ「ズイガム・ボルド」の破壊を目指します。ゲームは全25エリアで構成され、クリア後は無限ループとなります。ただし、25エリアクリア後はエリア1ではなく、エリア12からスタートする点が特徴的です。本作は、独特のパワーアップシステムを採用しており、敵を撃墜するだけでなく、エネルギー残量や被ダメージを考慮した戦略的なプレイが求められます。タイトル画面では、難易度をLEVEL1から4まで選択可能です。

本作の楽曲は、公式に歌詞がついた世界初のゲーム音楽であるとされています。より正確には、曲よりも先に歌詞が存在していました。サウンド担当の斉藤康仁氏は当時、「レーザー」のような言葉が持つ音程を活かす手法で作曲していました。当初、歌詞は斉藤氏が頭の中で歌っていただけでしたが、攻略本への譜面収録の際にそのまま掲載されました。

ゲーム内容

システム

本作は残機制ではなく、ライフ制を採用しています。画面右端最上部にはダメージ量を表す2桁の数字が表示されており、ダメージ数値が99を超えるとゲームオーバーになります。ダメージは、地上や空中のレーダーを各エリアで指定された数だけ破壊すると出現するエネルギー輸送船とのドッキングや、アイテム「エキストラ」の獲得によって回復できます。敵機との接触や敵弾によるダメージは少ないですが、各エリアのボスである「ズイガム・ボルド」は、非常に強力な攻撃を仕掛けてきます。また、触れただけで即死級のダメージを与える敵キャラクターも存在します。

2号機は特定のエリアで友軍機に護衛された状態で登場します。登場前には必ず「ダパー」が1機、予告キャラとして出現します。2号機は1号機に接触すると追尾し、随伴するようになり、ロボット形態への変形が可能になります。ロボット形態時には、ダメージを徐々に回復できます。ただし、2号機の耐久力は低く、特に敵機との接触に弱いです。ロボット形態になることで、2号機のダメージを初期化できます。

前作の特徴であったショットのエネルギー制限は本作でも受け継がれています。エネルギーはある程度残量がある状態（パワーゲージ40）でスタートし、それ以降はプレイヤー自身で補給する必要があります。エネルギーはショットを撃つたびに消費されますが、ロボット形態時のパンチ攻撃では消費されません。ショットや体当たりで敵を撃破することでエネルギーを補給できる他、エネルギー補給艦にドッキングしたり、「エキストラ」を入手したりすることでも補給できます。エネルギー残量は画面上部のスコアの下にあるパワーゲージで表示され、エネルギー残量が39以下になるとオプションを失い、25以下では変形が不可能になり、19以下になるとBGMがスローテンポに変わり、対地弾以外の攻撃手段を失ってしまいます。そのため、常にエネルギー残量を意識しながら、効率よく敵を撃破していくことが重要になります。

パワーゲージ

画面上部のスコアの下にゲージが表示され、オプションを獲得できる60以上は10毎に朱色と灰色で区切られています。

ダメージメーター

画面右上に表示され、数値と色によってダメージを知らせます。

0〜49（青）
50〜89（黄）
90〜99（赤）

オプション

地上と空中のレーダーを一定数破壊すると、味方の補給艦が出現します。補給艦の後部に→が表示されている間に接触することで補給が行えます。エネルギー残量に応じて以下の4種類のオプションが入手できます。全4種の内、バリア以外は併用できません。ただし、レーザーを装備した後、連射か八方向ミサイルを入手すると、それぞれハイパー連射、ハイパー八方向ミサイルとなり、弾に貫通力を持たせつつエネルギー消費を抑えた強力な武装を使用できます。「ズイガム・ボルド」や「中型要塞」は、バリア以外のオプションによって耐久力が変化します。

オプションを入手すると、専用のBGMに変わります。これらのBGMには公式に歌詞が設定されています。

連射: ボタンを押しっぱなしで通常ショットを連射。パワーゲージ60 - 69で入手可能。
BGMの歌詞: 「連射 連射 強い連射 連射 連射 すごいぞ連射 もう これで 安心だ すごい 連射」
八方向ミサイル: 8方向同時にショットが撃てる。パワーゲージ70 - 79で入手可能。
BGMの歌詞: 「八方向 八方向 2号機付いたら 六方向」
レーザー: ボタンを押しっぱなしで貫通力のあるショットを連射。高威力だがエネルギー消費量が大きい。パワーゲージ80 - 89で入手可能。
BGMの歌詞: 「レーザー 強いぞ レーザー」
バリア: 機体の回りをエネルギー塊が高速で旋回し敵機を破壊する。バリア自体の攻撃でエネルギーは消費しない。ズイガム・ボルド戦の際は画面外へ離脱し、撃破後に再装備される。機体を円を描くように操作することで、機体の周辺を旋回しているバリアをある程度の距離まで振り回すことが出来る（攻略本には「ヌンチャクバリア」の名称で紹介されている）。パワーゲージ90以上で入手可能。
BGMの歌詞: 「バリア Ah〜」

アイテム

エキストラ: 透明カプセル状のアイテムで、特定の敵を倒すか特定の場所に行くかすると出現する。スコアが奇数の時に接触するとエネルギーが10パワーゲージに補給され、同時にスコア下2ケタ分のダメージが回復。偶数の時はダメージが10回復し、同時にスコア下2ケタ分のエネルギーがパワーゲージに補給される。
FCコントローラー: ファミコンのコントローラに酷似したアイテムで、予告無しに出現する。接触することも撃破することも出来ない。コントローラの十字キーに当たる部分とボタンに当たる部分のどこか2箇所が青く光っていて、これが指し示す通りにコントローラを操作するとその場にいる敵が全滅する。取扱説明書には記載されていない隠れキャラクター。名称は製品発売前に発行されたチラシに記載されていた。
音痴ペンギン: エネルギー輸送船をやり過ごすと画面右端最上部より出現する謎のペンギン 。出現した状態のまま自機が触れると大ダメージを食うが、ショット一発で画面下部に落下、そのまま自機が触れることで消滅させることが出来る存在意義が謎のキャラクター。当時の攻略本の記載によりある条件をクリアした場合に10,000,000点のボーナスが獲得できるとの噂が起こった。ただ、その獲得条件が複雑且つ曖昧な部分が多く実際にボーナスが獲得できるのか長らく不明であった。しかし2020年10月、YouTubeチャンネル「4st（ヨンスタ）」が、自機が無敵になるウラ技を使った上でだが条件通りにプレイを行い、10,000,000点ボーナスが実在することを証明した。

ハイスコア登録

ハイスコアでゲームオーバーになった場合のみ、ネーム登録画面が現れます。スコアネームは最大で8文字まで登録可能です。ネーム登録の制限時間は60秒。本作のカートリッジはバッテリーバックアップ非搭載のため、電源を切ると登録したハイスコアは消滅します。

発売時にLEVEL4でハイスコアを出したプレーヤーに対し、獲得スコアに応じて戦士バッジ（300,000点突破）または革命勲章（1,000,000点突破）をプレゼントするキャンペーンが実施された。

設定

ストーリー

太古の昔、ゼクト43星雲の惑星グラネス人によって文明を授けられた地球人類は、グラネス人が去った後、戦争に明け暮ていた。そして戦争の火の手が宇宙にまで及ぼしはじめた19XX年、地球人類を見守っていたグラネス人は巨大コンピュータ「ズイガム・ボルド」を世界各地に設置、地球人の管理を始めた。ズイガム・ボルドのコントロール波により、争いは無くなり平和な時代が訪れたが、時が経つにつれズイガム・ボルドの支配を受け付けない人々が生まれてきた。彼らはズイガム・ボルドによる地球支配を打倒すべく結束し、遠い祖先が開発した高機動戦闘メカを改造し、「ヴォルガードII」と名付け、出動させた。時に20XX年、今、地球革命の戦いが始まる。

登場キャラクター

自機 ヴォルガードII

古代の戦闘で使用された高機動戦闘メカを、20XX年代の地球人類が改造して誕生した変形合体ロボット。1号機と2号機が合体することで、戦闘機形態からロボット形態に変形します。1号機が上半身、2号機が下半身を担当します。

武器は1号機の下部に搭載されたキャノン砲から放たれる通常ショットと、放物線を描くように放たれる対地弾、ロボット形態時のパンチ攻撃、そしてエネルギー輸送船から供給される4種類のオプションです。

敵キャラクター
ズイガム・ボルド: 各ステージの最後に登場する超巨大コンピュータ。画面全体を覆うほどの大きさで、逆三角形の形状をしています。三層構造になっており、各層の継ぎ目が破壊可能です。破壊可能部分に隠された黒い球状の「核」を破壊することで機能停止します。
タルカス: 破壊不可能な輸送機「ノーデス」で空輸されるロボット兵器。出現前に「ピックル」が予告キャラとして登場します。2号機を随伴している場合は、大量の弾幕をばら撒いてきます。通常ショットや対地流弾、レーザーは無効で、ロボット形態時のパンチ攻撃のみが有効です。一定ダメージを受けると撤退します。
中型要塞: 中ボスとして登場する大型機。「ゾルデス」「ソルフィス」「テリアン」の3種類が存在し、同じ攻撃パターンで襲ってきます。装備しているオプションによって耐久力が変化します。
ダパー: ブーメランのような外見の飛行物体。「2号機」出現の予告キャラです。
パレス: プレイヤーと高さが同じになると上下に動き、攻撃を当てづらくなります。
ヌーボ: 放物線を描きながら地上を跳ねています。
マウストン: ズイガム・ボルド出現前に必ず現れます。
セポフ: 地上物（モアイ像に酷似）に擬態し、斜めに飛んできます。
ピックル: ハンドスピナーのような形状の回転する飛行物体。「タルカス」出現の予告キャラです。
アダパー: 回転する四角い飛行物体。破壊不可能で、接触すると即死級のダメージを受けます。「エキストラ」と同時に出現することが多く、特性を利用してエネルギー補給かダメージ回復かを選択できます。
レーダー: 各エリア内で特定数を撃破するとエネルギー輸送船が出現します。地上レーダーと空中レーダーの2種が登場します。
フォス: 空中レーダー。パラボラアンテナに主翼をつけたような黄色い飛行物体。蛇行しながら前進してきます。
グラス: 地上レーダー。赤く点滅する地上物です。
ダム: 敵のエネルギータンク。ロボット時にパンチで破壊することで、パワーを増やすことができます。

評価

ゲーム誌『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は17.77点（満30点）となっています。

参考文献

* 高機動戦闘メカ ヴォルガードII 取扱説明書

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