高田稔浩

高田 稔浩（たかだ としひろ）氏は、1965年9月9日に福井県で生まれた日本の元車いす陸上競技選手であり、現在は政治家として福井市議会議員を務めています。

幼少期から遺伝性の神経疾患であるシャルコー・マリー・トゥース病を抱えており、他の子供たちと一緒に運動を楽しむこともありましたが、次第に神経の変性により筋肉が動きづらくなり、最終的には下半身の自由を失い、25歳で車いすでの生活を余儀なくされました。福井工業大学大学院を修了後、福井市役所に勤務していましたが、パラスポーツの大会でボランティアとして参加したことがきっかけで、競技用車いすを使った陸上競技の存在を知りました。友人の後押しもあり、30歳という比較的遅いスタートながら車いすマラソンを始めました。

競技者として最も輝かしい実績は、パラリンピックでの活躍です。初出場となった2004年のアテネパラリンピックでは、クラスT52の400メートル、5000メートル、マラソンの３種目で金メダルを獲得し、1500メートルでも銅メダルを手にするという鮮烈なデビューを飾りました。この大会だけで４つのメダルを獲得し、一躍注目を集めました。

続く2008年の北京パラリンピックにも出場。400メートルで銀メダルを獲得したほか、800メートルでは同じ日本代表の伊藤智也選手と共に金・銀のワンツーフィニッシュを達成しました。マラソンでも銅メダルを獲得し、出場した３種目全てでメダルを手にするという安定した強さを見せました。北京大会以降も病気の進行により左手親指が動かなくなるという困難に直面しましたが、競技を続けました。

３度目の出場となった2012年のロンドンパラリンピックでは、800メートルで惜しくもメダルには届きませんでしたが、４位に入賞しました。このロンドン大会を最後に国際舞台から退く意向を示しており、結果的にパラリンピック３大会連続出場で、合計７個（金３、銀３、銅１）のメダルを獲得するという偉業を成し遂げました。

また、国内の主要大会でも活躍を続け、2012年には第32回大分国際車いすマラソン大会で初めて優勝しました。2014年4月には、ハーフマラソンの第10回長野車いすマラソン大会でも初優勝を飾っています。競技を通じて、クラスT52における1500メートル、5000メートルのアジア記録および日本記録、マラソンの日本記録なども樹立しています。

その活躍は国内外で高く評価され、2004年には銀杯、厚生労働大臣表彰、福井県栄誉賞、福井市市民栄誉賞を受賞。2008年にも厚生労働大臣表彰を受け、2012年には福井市市長表彰を受賞しています。また、障がい者スポーツの普及活動にも尽力しており、所属する福井県身体障害者陸上競技協会は、高田氏の功績などが評価され、2014年にFBCかがやき基金かがやき賞を受賞しました。

競技生活を通じて、病気と向き合いながら困難を乗り越える精神力を培った高田氏は、アスリートとしてのキャリアを終えた後、新たな道へ進みました。2023年4月に行われた福井市議会議員選挙に立憲民主党公認で立候補し、見事初当選を果たしました。現在は、生まれ育った福井のために、市民の声を市政に届け、より良いまちづくりに貢献すべく活動しています。アスリート時代に培った経験と粘り強さを活かし、政治家としても活躍が期待されています。

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