高田隆

高田 隆（たかた たかし）氏は、1953年10月22日生まれの日本の歯学者です。専門は口腔病理学で、長年にわたり教育、研究、大学運営の分野で顕著な功績を残しています。現在は周南公立大学の理事長と学長を兼任しており、地域における高等教育の拠点づくりに尽力しています。

高田氏は、1972年に兵庫県立姫路西高等学校を卒業後、広島大学歯学部へ進学。1978年に同大学を卒業し、歯学の道を歩み始めました。大学院に進み、1982年に広島大学歯学研究科を修了し、歯学博士号を取得しています。博士論文のテーマは「ラット臼歯部付着上皮の再生過程に関する超微形態学的研究」であり、歯周組織の修復・再生メカニズムに関する基礎的な探求を行いました。

大学院修了後、同年には広島大学歯学部の助手として教員キャリアを開始。1984年には同大学歯学部附属病院の講師に昇任し、臨床と研究の両面で経験を積みました。国際的な視野を広げるため、1985年から1986年にかけてドイツのハンブルク大学病理学研究所で研鑽を積み、その後の研究活動の基礎を築きました。

帰国後、1992年には広島大学歯学部の助教授となり、教育・研究の中心的な役割を担うようになります。さらに、1995年から1996年にはアメリカのミシガン大学歯周病学講座でも研究に従事し、歯周病学における最新の知見や技術を習得しました。これらの海外での経験は、高田氏の研究活動に大きな影響を与えたと考えられます。

2001年に広島大学歯学部教授、2002年には大学院教授へと昇任。教育者、研究者としてリーダーシップを発揮します。研究分野では、歯周組織の再生や口腔癌の病態解明、診断、治療に関する研究で特に知られており、その成果は国内外の学術誌で数多く発表されています。

大学運営にも深く関与し、2008年には広島大学歯学部の学部長に就任。学部全体の教育・研究の推進に貢献しました。さらに、広島大学の理事・副学長として大学全体の経営や改革にも携わり、大学運営における豊富な経験を積みました。

広島大学を離れた後、2019年には徳山大学の学長に就任。私立大学の運営に携わりました。2022年には公立大学に移行した周南公立大学の理事長兼学長に就任し、現在に至ります。新体制となった大学の発展のため、指導力を発揮しています。

学術団体での活動も精力的に行っており、特に日本臨床口腔病理学会では長年にわたり中心的な役割を担い、2008年からは理事長を務めています。国際的な活動としては、国際歯科研究学会（IADR）のPublication Committee Memberや国際口腔病理学会のアジア代表理事を歴任するなど、日本の歯学・口腔病理学を国際的に発信することにも貢献しています。その他、日本歯周病学会の常任理事や日本病理学会の口腔病理専門医資格審査委員会委員長などを務め、各学会の発展や専門医育成にも貢献しています。日本病理学会認定口腔病理専門医の資格を持ち、専門医試験実施委員長も務めた経験があります。

高田氏の主な著書としては、口腔病理学や歯周病学に関する専門書があり、多くの研究者や学生に利用されています。代表的なものに

『アトラス歯周病の細菌学』（クインテッセンス出版、1998年11月）
『口腔病理アトラス』（文光堂、2006年3月）
* 『新口腔病理学』（医歯薬出版、2008年6月）

などがあります。これらの著書は、口腔病理学・歯周病学分野の知識の普及に重要な役割を果たしています。

長年の教育・研究、そして大学運営における豊富な経験と実績は、日本の歯学界、特に口腔病理学分野の発展に大きく貢献しています。

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