高等学校必履修科目未履修問題

高等学校必履修科目未履修問題

高等学校必履修科目未履修問題とは、大学進学を目指す高校において、学習指導要領で定められた必履修科目が履修されていなかった結果、生徒に単位不足が生じて卒業が危ぶまれる事態を指します。この問題は1999年から徐々に明らかになり、2006年には富山県の学校での報道を機に全国へと波及しました。

問題の主な発覚

具体的な内容としては、学習指導要領に基づく必履修科目の中には、大学入試には関わりのない教科も含まれており、それにもかかわらず学校が生徒に対して履修を行わなかったために発生しています。例えば、世界史Aが必修であるにもかかわらず、その授業が行われていなかったり、選択科目が必須の教育課程に従っていなかったケースが多数報告されました。

教育委員会に提出した授業計画と異なる「裏カリキュラム」や、履修科目の内容が異なる授業も存在し、生徒たちはその影響を受けざるを得ませんでした。最終的には、熊本県を除く46都道府県で600校以上、8万人を超える生徒が卒業単位不足の問題に直面することになりました。特に、公立学校の約8%、私立学校では約20%が未履修問題に関わっていたことも確認されています。

卒業に向けた対応と混乱

教育機関は、単位不足を解決するために「補習授業」を行う方針を示しましたが、受験直前の生徒にとって受験に関連しない科目の補習を長時間受けることは大きな負担となりました。特に卒業には35単位時間の補習が必要であり、一部の生徒は10単位以上の未履修があったため、350単位時間もの補習が求められる事態に陥りました。そのため、全国高校PTA連合会が文部科学省に救済措置を求めたのも無理はありませんでした。

文部科学省は最初は救済措置に慎重でしたが、与党の声や首相の指示を受けて方針を転換し、未履修問題に対する特例措置を導入しました。これにより、2単位未満の履修漏れであれば、一定条件の下でレポート提出によって履修を認めることとなりました。

結果とその後の影響

この施策は、学習指導要領に基づいて学んできた他の生徒たちからの反発を受けることとなりました。「未履修問題は学校や教師の責任であり、生徒には責任がない」との意見が多く寄せられ、未履修の生徒たちは保護されるべきだという声も上がりました。

2007年には、福島県において、必履修科目を未履修のまま生徒を卒業させた学校が発覚し、再び問題が浮上しました。さらに、2011年度や2019年度にも他の高等学校で未履修が明るみに出るなど、問題は依然として根深いものでした。

このように、高等学校必履修科目未履修問題は、教育制度の透明性や適切な運営の重要性を浮き彫りにしています。この問題は単なる単位不足のみならず、教育現場の信頼性や生徒の将来にも大きな影響を及ぼす、深刻な事態と言えるでしょう。

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