高等師範学校

高等師範学校について

高等師範学校は、近代日本において中等教育の教員を養成するために設立された学校の一種で、一般には「高師」と省略されて呼ばれることが多かった。1886年に東京に最初の高等師範学校が設置され、その後広島、高知、岡崎などに続いて複数の校が設立されることとなった。この教育機関は、国公立の学校として、教育界で重要な役割を果たし、現在の筑波大学へと繋がる教育システムの形成に寄与した。

概要と役割

高等師範学校は、主に明治中期から戦後の学制改革期まで存在し、教育制度の根幹を成す存在とされた。官立の高等師範学校は、東京高等師範学校をはじめ、広島、金沢、岡崎の4校が設けられ、さらに私立の「高等師範部」や「高等師範科」も存在した。特に女子の教員を養成する目的で独立した女子高等師範学校も設置され、教育界における男女平等の基礎を築くことに寄与した。

歴史的背景

高等師範学校の起源は1875年にさかのぼり、東京師範学校内に設けられた「中学師範学科」に始まる。当時、中学校の教員に関する需要が増加する中で、教育課程の充実化が求められた。このような背景から、中等教育の専門的な教員を育成する必要性が高まり、東京師範学校は次第に中学師範学科に焦点を当てるようになった。1886年に師範学校令が制定され、東京師範学校が高等師範学校としての位置づけを与えられ、全国各地にその模範が広がった。

教育課程と政府の関与

高等師範学校は、文部省によって強い統制のもと運営され、卒業生は10年の教職服務義務を負うことが規定された。この決まりは、後に高師から得られた教員が教育現場において重要な役割を果たす土台を作り出した。1894年には、新たに制定された高等師範学校規定により、教育課程が拡充され、文科と理科に分かれた教育が行われるようになった。

高等師範学校では、国語や英語、数学、理科など幅広い学問が教えられ、さらに1897年には自費生を初めて受け入れることが認められるなど、教育の質とアクセスの向上に努める姿勢が見てとれた。これにより、さまざまな背景をもつ優れた生徒を吸収し、国家主義的な教育の担い手とする方向性を持つ教育システムが確立されていった。

現代への影響

第二次世界大戦後、大規模な学制改革が行われ、新たに設立された大学の教育学部は、高等師範学校の影響を強く受けている。かつての高等師範学校から多くの教育者が輩出され、その教え子たちが日本の教育界で重要な役割を担っていくことになります。

高等師範学校は、日本の近代教育における重要な一環であり、その教育の理念や仕組みは現在の教育制度にも大きな影響を与え続けています。日本における教員養成に対するアプローチや、教育の質の向上を目的とした努力は、今もなお続いています。

もう一度検索