高見 (北九州市)

福岡県北九州市八幡東区高見

高見は、福岡県北九州市八幡東区に位置する町名で、一丁目から五丁目までが存在します。郵便番号は805-0016です。

地理と概要

八幡東区の東部に位置し、戸畑区と隣接しています。地区の南側には板櫃川が東西に流れ、北側は丘陵地となっています。かつてこの地には、新日鉄八幡製鐵所の幹部社宅や福利厚生施設が整備されていました。グラウンド、テニスコート、購買会などが設置され、隣接する戸畑区鞘ヶ谷の社宅や寮、陸上競技場とともに、製鉄所による開発が進められました。

21世紀に入り、新日鉄都市開発（現・日鉄興和不動産）によって、45haの区域で「住宅市街地総合整備事業」が実施されました。この事業では、緑地、板櫃川、桜並木などの自然環境を活かし、「桜と水辺とふれあいの街」をテーマとした高級住宅街の整備が進められました。道路、公園、河川、商店などが一体的に整備され、美しい街並みが形成されています。

特に「高見三条」は、2003年に福岡県美しいまちづくり賞の「まちなみ景観の部」で優秀賞を受賞しています。また、地区内にはかつて北九州市長公邸がありましたが、売却後に新日鉄都市開発によって再分譲されました。

歴史

高見地域では、弥生時代から古墳時代前期にかけての土器が多数発見されており、古代から人々がこの地に住んでいたことがわかっています。水辺で祭祀が行われていたと考えられています。奈良時代から平安時代には地形が安定し、中世以降には水田として利用されていました。

江戸時代には、この地域は豊前国企救郡板櫃村と筑前国遠賀郡八幡村に属し、両国の国境がこの地を通っていました。1906年、農商務省が板櫃村槻田の一部を官舎用地として買い取り、製鉄所の職工官舎を建設しました。これにより、住宅地としての歴史が始まりました。

1907年には、長官や高等官、判任官の官舎が建設されたほか、ドイツ人顧問技師グスタフ・トッペの官舎が移築され、「公餘倶楽部」（現在の高見倶楽部）となりました。この「公餘倶楽部」の存在が、この一帯を「高見」と呼ぶきっかけになったと言われています。高見山の由来となった高見神社は、製鉄所建設に伴い1933年に現在地に移転しました。高見倶楽部は製鉄所の迎賓館として使用され、1954年には昭和天皇が宿泊されました。1916年には高見尋常小学校が開校しました。

1971年の住居表示実施により、現在の町域が確定しました。その後、新日鉄の工場が関東に増え、八幡製鐵所の社員が減少したことや、社宅の老朽化が進んだことから、社宅跡地が住宅地として開放され、新日鉄都市開発による再開発が進められました。板櫃川の護岸も自然に近い形に整備されました。

2004年からは「高見夏祭り」が開催されており、地域住民や学校などが参加する、活気のあるお祭りとなっています。

製鉄所官舎整地事業の名残として、「一条」から「七条」までの区分けが現在も残っており、バス停名、交差点名、分譲タウン名、橋の名前、商店の支店名などにその名残を見ることができます。

主な施設

高見には、かつての製鐵所関連施設が多く残っています。

福岡県立北九州視覚特別支援学校
北九州市立高見中学校
北九州市立高見小学校
高見三条さくら公園
高見中央公園
高見神社（八幡製鐵所守護神）
高見倶楽部（八幡製鐵所迎賓・幹部向け厚生施設）
スピナラソリエ高見店（旧八幡製鐵所購買会→テツビル高見店）
高見ショッピングセンター（リバーサイド荒生田）
八幡高見郵便局
西日本シティ銀行荒生田支店

参考文献

角川日本地名大辞典編纂委員会 『角川日本地名大辞典 40 福岡県』 角川書店、1988年。
北九州市芸術文化振興財団埋蔵文化財調査室　「高見遺跡　(北九州市埋蔵文化財報告書　第３２６集)」
背川負太郎　『おもしろ地名北九州事典』、文理閣、1997年

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