高速 (列車)

高速列車種別の歴史と現状

「高速」とは、主に日本の私鉄において使用されてきた列車種別です。特急列車よりも停車駅が多く、急行列車よりも停車駅が少ない、いわば特急と急行の中間に位置する列車種別として認識されてきました。本記事では、名鉄、近鉄における「高速」の運用事例、神姫バスにおける「高速」路線の変遷、そして中国やインドにおける類似の列車種別について解説します。

名鉄における「高速」

名古屋鉄道（名鉄）では、1977年から1990年まで「高速」という列車種別が運行されていました。初期には「高速急行」と呼ばれていましたが、後に「高速」に改称されました。停車駅は特急とほぼ同じで、名鉄3400系電車などを使用し、主に本線系統で運行されていました。現在の常滑線、河和線、知多新線系統では、全車一般車特急が運行されていますが、当時は「高速」がその役割を担っていました。

近鉄における「高速」

近畿日本鉄道（近鉄）でも、「高速」は列車種別の一つとして使用されていました。上本町駅（現：大阪上本町駅）から伊勢志摩方面への臨時列車「伊勢志摩号」に用いられ、1982年から1987年にかけて1日最大4往復程度運行されていました。当初は「直通急行」という名称でしたが、利用客の誤乗が多かったため「高速」に変更されました。近鉄における「高速」は、名鉄沿線で急行の上位種別として認識されていた「高速」と同様に、特急の補完的な役割を担っていました。

「高速」伊勢志摩号は、停車駅数が特急の甲特急と乙特急の中間程度で、特別料金不要という特徴がありました。使用車両は、2610系、1200系、20100系など、長距離運転に適した車両が充当されていました。ただし、主要な列車ではなかったため、所要時間は乙特急よりも遅く設定されていました。「高速」の種別廃止後は、「臨時快速急行」として運行されましたが、1990年代前半に消滅しました。2021年にはクラブツーリズムのツアー列車として復活が計画されていましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となりました。

神姫バスにおける「高速」

神姫バスの「三田ー大阪・新大阪」線は、「高速」という種別名を用いています。2018年4月の運行開始以来、ダイヤ改正やコロナ禍の影響を受けながら運行本数を増やし、2021年4月には平日34往復となりました。関西学院大学への通学や、三田から大阪への通勤・通学、大阪空港へのアクセスなどを目的とした路線です。高速道路を経由しますが、「高速バス」ではなく、あくまで種別としての「高速」です。

運行開始当初は「特急」よりも停車停留所が少なく、上位種別と見なされていましたが、2021年4月のダイヤ改正で「特急」との重複区間における停車停留所が同一となり、上位種別とは言えなくなりました。2021年10月のダイヤ改正で神姫バスのホームページからは「高速」表記が消滅し、代わりに「大阪線」表記となりました。しかし、一部のバス停の時刻表には「高速」表記が残っています。

その他の国における類似種別

中国の高速鉄道では、最高時速300km以上のCRH型電車を使用する列車種別として「高速」が用いられていました。現在では、多くの路線で最高時速が300kmに制限されています。インドでも、急行列車の一種として「Superfast Express（高速急行）」が存在します。

まとめ

「高速」という列車種別は、日本の私鉄を中心に用いられてきた種別です。特急と急行の中間に位置づけられ、路線や時期によってその役割や位置づけが異なっていました。神姫バスの例のように、バス路線においても「高速」という種別名が使われているケースがあります。中国やインドなどでも、類似の列車種別が存在しており、各国で独自の運行形態が確立されていることがわかります。今後も、運行状況や旅客ニーズの変化に応じて、列車種別のあり方が変化していくと考えられます。

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