高野悦子 (映画運動家)

高野 悦子 - 日本の映画運動家

高野悦子（たかの えつこ、1929年5月29日 - 2013年2月9日）は、日本の映画界に大きな影響を与えた運動家であり、映画プロデューサー、放送作家、そして岩波ホールの総支配人として知られています。彼女の生涯は、映画を通じて社会に貢献することに捧げられました。

幼少期と教育

高野は満洲の大石橋で生まれ、1945年に家族とともに日本に帰国しました。富山県の魚津高等女学校を卒業後、彼女は日本女子大学に進学します。ここで南博教授の指導の下、映画とマスメディアに関する研究を行い、その成果を各種メディアに発表しました。この時期に、彼女は映画『キュリー夫人』を観て感銘を受け、映画に対する情熱をかき立てられました。

東宝でのキャリア

1951年に大学を卒業した後、東宝に入社し、映画制作におけるマーケティングリサーチを初めて行ったのが彼女の特徴です。しかし、映画監督になることを目指し、1961年にフランスの高等映画学院に留学。帰国後、衣笠貞之助監督の助手として製作現場に関わり、その後放送作家としても活動を開始しました。

彼女は多くのテレビドラマに参加し、オリジナル脚本や脚色を手掛ける中で、特に1964年には「巴里に死す」として脚色と演出を担当しました。その後、日本・ポルトガル合作映画『鉄砲物語』の企画にも関与しますが、困難に直面し、脚本のクレジットに関する訴訟を行うなど波乱のキャリアが続きました。

岩波ホールでの貢献

1968年、高野は岩波書店社長の岩波雄二郎により岩波ホールの総支配人に任命されました。彼女はホールにおいて名作映画上映運動「エキプ・ド・シネマ」を主宰し、日本映画の普及に努めました。1974年には映画の上映を通じた名作の普及運動にも携わりました。

国際的活動

高野の活動は国内にとどまらず、国際的な映画祭の実行委員としても積極的に関与しました。1982年から1990年までの間に多くの映画祭を支援し、また火災で被害を受けた東京国立近代美術館フィルムセンターの復興にも尽力しました。特に865本のフランスの名画フィルムを復元するための募金活動は彼女の名を大きくしました。

1994年、日本美術技術博物館の建設に向けた運動にも関与し、数々のイベントを成功させました。さらに、海外でも多くの映画文化交流を促進しました。

著作と受賞歴

高野悦子は多くの著書を残し、特に映画に対する考察や自らの経験を綴った作品が多数あります。著作には『シネマ人間紀行』や『心にひびく映画 興行の世界に創造を』などが含まれます。また彼女の業績は多くの賞を受けることで評価され、文化功労者や数々の勲章が授与されました。

最後の足跡

高野は2013年に83歳で逝去しましたが、その影響は今もなお日本の映画界に残っています。彼女の名前は、映画界の発展に寄与した先駆者として、多くの人々の記憶に刻まれています。生涯を通じて高野は、映画を通じた社会貢献を果たし続けました。

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