高野斗志美

高野斗志美（たかの としみ）は、1929年7月7日に北海道鷹栖村（現在の鷹栖町）で生まれ、2002年7月9日に没した文芸評論家です。旭川大学の名誉教授であり、新日本文学会会員として活動しました。

高野は、旧制富良野中学校、旧制弘前高校を経て、東北大学文学部哲学科を卒業。同大学院文学研究科修士課程を修了しました。その後、北海道立高校の教員として旭川北高等学校などで教鞭を執りました。1964年には、サルトル論で第4回新日本文学賞を受賞し、その評論家としての地位を確立しました。

1966年、北海道士別高等学校教諭であった高野は、旭川ベ平連の代表となります。ベ平連は、ベトナム戦争に反対する市民運動団体であり、高野は平和運動にも積極的に参加しました。1971年には旭川大学経済学部の助教授に就任、1974年には同大学の教授となりました。1980年から1982年まで旭川大学の学長代行、1985年から1988年まで学長を務め、大学の運営にも貢献しました。

高野は、作家の三浦綾子と親交が深く、三浦作品の13編に解説を寄せるなど、三浦文学の研究者としても知られています。1998年3月には、三浦綾子記念文学館の初代館長に就任し、文学館の発展に尽力しました。1999年には、旭川市文化賞を受賞しています。

評論家としては、安部公房や倉橋由美子など、同時代の作家たちの作品を多く論じました。また、旭川文学学校を創始し、井上光晴とともに文学伝習所を開くなど、後進の育成にも力を注ぎました。

主な著書として、『安部公房論』『井上光晴論』『倉橋由美子論』（サンリオ選書、1976年7月）、『評伝　三浦綾子―ある魂の軌跡』などがあります。

高野斗志美は、文芸評論家として、また教育者として、北海道の文化の発展に大きく貢献した人物として記憶されています。

[高野斗志美略年譜(外部リンク)]

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