高階経徳

高階経徳の生涯と業績

高階経徳（たかしな つねのり、1834年9月11日 - 1889年3月23日）は、幕末から明治初期にかけて日本の医療界で重要な役割を果たした医師であり、特に明治天皇の侍医として知られています。彼の号は「禮園」、出身地は京都で、長い医療の伝統を継承してきた家系に生まれました。

生い立ちと医師としての道のり

経徳は、天保5年に典薬寮医師であった父・高階経由の子として誕生しました。彼の家族は代々宮廷に仕え、医術を継承してきた名家でした。曽祖父の東逸は光格天皇に、祖父の経宣は光格天皇と仁孝天皇に、そして父の経由は仁孝・孝明・明治天皇の三人に仕えました。このような背景の中で、彼は幼い頃から医療を学び、才覚を磨いていきました。

21歳になった嘉永7年（1854年）、経徳は典薬寮に出仕し、従六位上筑前介へ昇進。彼の医療としてのキャリアはここから始まります。彼の才能は早くから認められ、文久元年の暮れ（1862年）には、和宮親子内親王の降嫁に際して移送医師として選ばれました。

典薬寮での業績

若い経徳は和宮内親王の医師として抜擢されただけでなく、さらに重要な役割を担うようになります。慶応2年（1867年）には孝明天皇の病の際、父と共に瘟疫の診断を行い、その結果、天皇を看病しながら持病の治療に努めました。このような医療の任務は後の彼のキャリアに多大な影響を及ぼしました。

慶応3年9月（1867年10月）には江戸に派遣され、和宮付きの女官が発病した際にもその治療を行い、地位を固めました。

明治維新の影響

明治維新が起こると、経徳は父との連名で「西洋医学御採用方」という建白書を提出しました。この文書では、西洋医学を広く普及することと、社会的福祉の向上を求めました。この提案は新政府に受け入れられ、近代医学が日本で普及する起点となったのです。

彼自身も西洋医学の学習に力を入れ、漢方と洋方の両方の医学に精通するようになりました。これにより、彼はさらに重要な役職を歴任し、明治天皇の侍医としての地位を確立しました。明治時代には数々の医官の地位を歴任し、高段階の侍医に任命されると同時に、医療分野でもリーダーシップを発揮しました。

教育と晩年

経徳は医官としての職務の傍ら、私塾「好寿院」を設立し、医師の育成にも尽力しました。彼の門下には日本初の女医である荻野吟子も含まれています。経徳は医療の発展に加え、教育の重要性を認識しており、多くの後進に影響を与えました。

1889年、経徳は54歳で亡くなりました。彼の功績は日本の医学界において多大な影響を及ぼし、その死後も彼の業績や思想は医療分野で語り継がれています。染井霊園に彼の遺体は埋葬され、今も多くの人々に記憶されています。

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