髙橋和夫 (実業家)

髙橋 和夫（たかはし かずお）

1957年3月1日、新潟県北魚沼郡小出町（現在の魚沼市）に生まれた髙橋和夫氏は、学校教員の家庭で育ちました。地元である新潟県立六日町高等学校を卒業後、東京都武蔵野市へ移り、大学受験のための浪人生活を送ります。1980年、一橋大学法学部を卒業。大学時代は堀部政男氏のもとで情報法を学びました。卒業と同時に東京急行電鉄（現在の東急株式会社）に入社。大学の同期には、後に作家や政治家として活動する田中康夫氏がいました。

キャリアの出発点とバス事業

入社後の約10年間は交通事業に携わりました。当初配属されたのは、当時東急が直接運営していたバス事業を管轄する自動車部です。弦巻営業所での勤務などを経て、本社の交通事業本部総括課に異動。ここではバス部門を分社化するためのプロジェクト推進役を担いました。1991年に東急バス株式会社が設立され、バス事業が分離されると、髙橋氏は以後約19年間にわたり東急バスへ出向。同社の経営再建と事業強化に注力し、その手腕を発揮しました。この間、2006年には東急バスの取締役に、2009年には常務取締役に昇進しています。

本社復帰と経営の中枢へ

2010年、東京急行電鉄本社に戻り、執行役員人事・労政室長を務めます。翌2011年には、野本弘文氏が社長に就任したのに伴い、取締役執行役員経営管理室長に就任し、経営の中枢に関わるようになりました。この時期には、東急トランセが運行する代官山循環線の開設にも貢献しています。

経営企画を主導

2014年には常務取締役社執行役員経営企画室長に昇格。翌2015年、2016年と取締役常務執行役員、取締役専務執行役員へと順調に昇進し、引き続き経営企画室長として東急グループの経営戦略策定を担いました。特に、仙台空港の民営化プロジェクトを指揮し、仙台国際空港株式会社の取締役も兼任しました。また、2017年からは前田建設工業とのインフラ運営事業に関する合弁会社、グローバル・インフラ・マネジメントの代表取締役会長も務めるなど、事業領域を広げました。野本社長とともに、2018年4月からの東急の中期経営計画策定にも深く関与しました。

代表取締役社長への就任

2018年、東京急行電鉄の代表取締役社長 社長執行役員に就任しました。社長就任会見では、今後の経営課題として地方や海外への事業展開を積極的に進める方針を示しました。専門誌のインタビューでは、東急の強みを「まちづくり」という幅広い事業にあると語り、健康維持・増進を重要な「経営課題」と捉える考えを示しています。また、自身のキャリア初期やバス事業の分社化における粘り強い交渉経験、そして部下とのコミュニケーションにおいては「上からでなく同じ目線で話す」ことを心がけていると述べています。

副会長として

2023年6月、東急株式会社の代表取締役副会長に就任し、現在に至ります。

鉄道事業だけでなく、まちづくりなど多角的な事業を展開する東急グループにおいて、髙橋氏はバス事業の再建から始まり、経営企画、そして社長としてグループ全体の戦略を主導するなど、そのキャリアを通じて重要な役割を果たしてきました。テレビ番組「日経スペシャル カンブリア宮殿」にも東急の社長として出演し、会社の挑戦について語っています。

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