鬼ヶ城

鬼ヶ城（おにがじょう）



概要



鬼ヶ城は、三重県熊野市木本町に位置する、熊野灘に面した海岸景勝地です。その特異な地形と美しい景観から、国の名勝「熊野の鬼ケ城 附 獅子巖」の一部として指定されています。約1.2kmにわたり、熊野灘の荒波に浸食された大小無数の海食洞が階段状に連なる様子は圧巻です。この場所は、志摩半島から続くリアス式海岸の最南端にあたり、ここから南はなだらかな砂浜海岸へと変化します。

自然の造形美



鬼ヶ城の最大の特徴は、海岸線に沿って続く海食洞群です。長年の波の浸食と地震による隆起が、独特の景観を生み出しました。まるで鬼が住んでいたかのような荒々しい岩肌と、自然が作り出した洞窟の数々は、訪れる者を魅了します。

また、東口から山頂へ続くハイキングコースには桜が植えられており、春にはソメイヨシノ、ヤマザクラ、オオシマザクラ、サトザクラなど、4種類の桜が次々と開花し、長期間にわたって花見を楽しむことができます。

歴史と伝説



鬼ヶ城には、古くから多くの伝説が語り継がれています。中でも有名なのが、坂上田村麻呂が桓武天皇の命を受けて、この地を荒らしていた海賊・多娥丸を征伐したという伝説です。鬼と恐れられた海賊を退治したという物語は、鬼ヶ城の名前の由来ともなっています。

室町時代には、有馬忠親が山頂に隠居城として鬼ヶ城本城を築城しました。その後、堀内氏によって有馬氏は滅ぼされ、堀内氏がこの地を治めるようになりました。堀内氏は豊臣秀吉に仕え、関ヶ原の戦いまでこの地を統治しました。現在でも、山頂と熊野古道松本峠を結ぶハイキングコースには、当時の名残である3本の掘切が残っています。

文化財と世界遺産



鬼ヶ城は、1935年に国の天然記念物に指定され、1958年には獅子岩が追加指定され、名勝および天然記念物「熊野の鬼ケ城 附 獅子巖」となりました。さらに、ユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』（2004年7月登録）の一部としても登録されており、世界的に貴重な文化遺産として認められています。また、その美しい景観から、日本百景にも選定されています。

アクセス




周辺施設




関連項目




鬼ヶ城は、自然の造形美、歴史、伝説が融合した魅力的な観光地です。熊野を訪れる際には、ぜひ立ち寄ってみてください。

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