鬼怒橋

鬼怒橋の概要

鬼怒橋（きぬばし）は、栃木県宇都宮市石井町に位置する、鬼怒川を横断する道路橋です。この橋は宇都宮市が管理しており、もともとは国道123号の一部でした。1915年に初めて建設され、当時は秋田杉を使った木製の橋でしたが、1931年には鋼橋として再建されました。2021年には架橋から90年が経過しましたが、今でも現役の橋として利用され、土木学会の選奨土木遺産にも認定されています。

歴史的背景

江戸時代、鬼怒橋が架けられる前の地点には石井河岸があり、渡し船が運航されていました。これは宇都宮から笠間を経由し水戸城下へ向かう街道の重要な交通手段の一つでした。明治時代になると、鬼怒川の中流に架橋が計画され、1908年に工事が開始されました。この橋の目的は、鬼怒川によって分断された芳賀郡の産業を発展させることでした。7年の工事を経て、1915年3月に完成した橋は、地域の人々から「岡田橋」として記憶されています。これは、地域の政治家岡田泉二郎の尽力によるものです。当時、宇都宮の名所として多くの訪問者があり、小学生の遠足先にも選ばれていました。

木橋として長く使われましたが、経年劣化により、1930年には鋼橋への改修工事が開始されました。約244,000円の工費がかけられた工事は1931年に完成し、「石井の橋」として新たに生まれ変わりました。その後、1969年に、下流側に幅員2.25メートルの側道橋も追加されました。交通量の増加に伴い新鬼怒橋も建設され、1973年と1990年に開通しました。これにより、国道の指定が新鬼怒橋に変更され、鬼怒橋は宇都宮市道3146号となりました。

鬼怒橋の構造

現在の鬼怒橋は、下路曲弦鋼プラットトラス橋で、スパンは36.6メートルの15連のトラスで構成されています。この15連は国内でも屈指の規模を誇り、近代的な材料と構造が取り入れられています。橋の全長は559.4メートル、幅は6.4メートルです。橋脚は煉瓦とアーチ状の切石積みで支えられ、木橋時代のものを活かして造られています。また、設計は栃木県技師松田文衛によるもので、建設における技術力の高さが評価されています。土木学会選奨土木遺産としても認定され、美しさと歴史が感じられる景観が魅力的です。

文化的意義

鬼怒橋は、単なる交通手段としての役割に留まらず、その美しさや歴史的背景からも文化的な重要性を持っています。2010年には土木学会の選奨土木遺産に選ばれ、2017年には宇都宮市まちなみ景観賞歴史文化部門を受賞しました。また、2016年にはジャパンカップサイクルロードレースを契機に整備された鬼怒川サイクリングルートの一部にもなりました。2020年からは大規模修繕工事が行われ、挑戦的な工事が続けられています。

まとめ

鬼怒橋は、栃木県宇都宮市における歴史的な道路橋で、地域の文化と生活を支える重要な存在です。近代的な設計と美しい景観が融合し、今もなお多くの人々に親しまれています。

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