魂の書〜ザ・ブック・オブ・ソウルズ〜

2015年に発表された『魂の書〜ザ・ブック・オブ・ソウルズ〜』（原題：The Book of Souls）は、イギリスのヘヴィメタルバンド、アイアン・メイデンにとっての16作目にあたるスタジオアルバムです。本作はバンドとして初の2枚組のスタジオ作品であり、ファンにとっても特別な意味を持つアルバムとなりました。

アルバムの背景

このアルバムの中でも特に注目されるのが、ブルース・ディッキンソンが作詞作曲を手掛けた「エンパイア・オブ・ザ・クラウズ」です。この楽曲は、アイアン・メイデンの楽曲の中で最も長いものであり、その再生時間はなんと18分に達します。また、「ティアーズ・オブ・ア・クラウン」は、著名なコメディアン、ロビン・ウィリアムズにインスパイアされた作品となっており、その背景には深い感情が込められています。

レコーディングはパリのギヨーム・テル・スタジオで行われ、過去に撮影されたアルバム『ブレイヴ・ニュー・ワールド』（2000年）と同じ場所での作業でした。ディッキンソンはこのスタジオに対し特別な思い入れがあり、当時のマジカルな雰囲気が今でも生きていることに感動を覚えたと語っています。

リリースの経緯

『魂の書〜ザ・ブック・オブ・ソウルズ〜』のリリースは当初予定された日よりも若干延期され、2015年 9月4日に発売されました。その理由は、ブルース・ディッキンソンが腫瘍の治療を受けていたためです。アルバムは2枚組CDの通常版だけでなく、豪華なハードカバーのブックレットが付いたデラックス・エディションや、3枚組のアナログLPとしても販売され、幅広いリリース形態でファンに届けられました。

アルバムの反響

本作は、全英アルバムチャートにおいてアイアン・メイデンにとって5作目の1位を獲得し、合計12週にわたってトップ100入りしました。また、フィンランドでは2週間連続で1位を記録し、合計21週間にわたりトップ50にランクインするなど、その人気の高さが伺えます。アメリカ合衆国では初週に7万4000枚以上を売り上げ、Billboard 200で4位に到達するなど、同国でも高い支持を得ました。

販売記録としては、1991年以降で最高の初週売上を記録し、前作『ファイナル・フロンティア』と並ぶ自己最高のパフォーマンスを見せたことが評価されました。更に、サウンドスキャンのデータによると、これまでのスタジオアルバム6作は前作の初週売上を上回るという成功を収めています。

批評の評価

評価も非常に高く、音楽レビューサイトのオールミュージックでは5点満点中4点を獲得しました。批評家のThom Jurekは、本作を「大作主義が際立っており、繰り返し聴くことでアイアン・メイデンの最高傑作となるかもしれない」と述べています。また、ロック誌『ローリング・ストーン』でも、ブルース・ディッキンソンの復帰を歓迎する声が上がり、彼の表現力豊かなボーカルが特に感動的であると評されました。

さらに、CDJournal.comでは本作のライヴ感や生の迫力が生かされていると評価されており、90分という長さを全く感じさせない内容となっています。2015年11月には『クラシック・ロック』誌が年間最優秀アルバムに選出し、その音楽的な力強さを称賛しています。

収録曲の紹介

アルバムはディスク1、ディスク2の2枚に分かれて収録されています。ディスク1には「イフ・エタニティ・シュッド・フェイル」や「スピード・オブ・ライト」などが含まれ、ディスク2には「デス・オア・グローリー」や「エンパイア・オブ・ザ・クラウズ」が収められています。これらの楽曲はそれぞれ異なるテーマやスタイルを持ち、全体としてバンドの多様性を感じさせる作品に仕上がっています。

参加ミュージシャン

本作には、スティーヴ・ハリス、ブルース・ディッキンソン、デイヴ・マーレイ、エイドリアン・スミス、ヤニック・ガーズ、ニコ・マクブレインが参加し、さらには追加のミュージシャンとしてマイケル・ケニーやジェフ・ボヴァも名を連ねています。全体として、熟練のミュージシャンたちによる力強い演奏が繰り広げられており、深い音楽的経験が色濃く漂っています。

このアルバムはアイアン・メイデンのファンにとって特別な作品であり、彼らの音楽的探求の一端を示す重要なマイルストーンとなっています。

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