魅せられて (ジュディ・オングの曲)

ジュディ・オング「エーゲ海のテーマ〜魅せられて〜」：時代を彩った魅惑の旋律

「エーゲ海のテーマ〜魅せられて〜」は、1979年2月25日に発売されたジュディ・オングのシングルで、彼女の代表作の一つとして広く知られています。オリコン集計で123.5万枚、累計200万枚のセールスを記録し、当時の音楽シーンに大きな足跡を残しました。

楽曲の背景

B面に収録された「クレタ島の夜明け」とともに、エーゲ海の美しい風景をテーマにしたこの楽曲は、阿木燿子が作詞、筒美京平が作曲を手がけました。ワコールのCMソングとしても起用され、映像には後にイタリア国会議員となるポルノ女優チッチョリーナが出演し、日伊合作映画『エーゲ海に捧ぐ』のシーンが使用されたこともあります。

楽曲制作の裏側には、興味深いエピソードがあります。酒井政利が電通主催の旅で池田満寿夫と意気投合し、「エーゲ海に捧ぐ」のCMソングとして企画されました。当初は覆面歌手として売り出す予定でしたが、CMの反響からジュディ・オングの名前が解禁されたという経緯があります。

印象的な衣装

歌唱時にジュディ・オングが着用した、両手を広げると扇状に広がる純白のドレスは、楽曲のイメージを象徴するものとして広く知られています。当初はエーゲ海の映像を映すための「スクリーンドレス」としてデザインされましたが、技術的な問題からバックライトを当てる演出に変更され、それが大反響を呼びました。現在では、袖に芯を入れた鳥の翼のように広がる「“スーパー”魅せられて」と呼ばれるバージョンも使用されています。

社会現象と受賞

「魅せられて」は、オリコン週間チャートで9週連続1位を獲得し、1979年の年間シングルチャートでは第2位に輝きました。また、『不二家歌謡ベストテン』でも9週1位を達成しています。同年には『第21回日本レコード大賞』を受賞し、ジュディ・オングとソニーミュージックにとって初のレコード大賞獲得となりました。

パロディと追悼

楽曲の大ヒット中には、『8時だヨ!全員集合』で志村けんが「魅せられて」のパロディを披露し、人気を博しました。志村けんの逝去後、ジュディ・オングは自身のTwitterで追悼の意を表し、パロディに爆笑した思い出を語りました。

多言語版とセルフカバー

「魅せられて」は、北京語版「愛的迷戀」としてもリリースされ、香港や台湾で様々なアーティストによってカバーされました。ジュディ・オング自身も、1986年、1995年、2004年、2012年と複数回にわたりセルフカバーを行っています。また、ジェリー伊藤による英語バージョン「Love is Calling Me」も存在します。

『エーゲ海に捧ぐ』との関係

この楽曲は、映画『エーゲ海に捧ぐ』の主題歌ではありませんが、「池田満寿夫監督作品『エーゲ海に捧ぐ』イメージソング」として宣伝され、映画の劇場特報やテレビCMでも使用されました。しかし、楽曲の副題を巡って訴訟問題が発生し、最終的に「エーゲ海のテーマ」に変更されました。

幅広いカバー

「魅せられて」は、数多くのアーティストによってカバーされています。石川さゆり、明石家さんま、島谷ひとみ、桑田佳祐、デーモン閣下、JUJUなど、ジャンルを超えた様々なアーティストが、それぞれの個性を活かしてこの名曲を歌い継いでいます。海外では、テレサ・チュン（張德蘭）、蔡淑娟、崔苔菁などがカバーしています。

「エーゲ海のテーマ〜魅せられて〜」は、時代を超えて愛される名曲として、これからも多くの人々の心に響き続けるでしょう。

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