魅惑のワルツ

魅惑のワルツ（Fascination）

『魅惑のワルツ』という楽曲は、1957年にアメリカのビルボードチャートで7位を記録した非常に有名な曲です。この曲は、女性歌手ジェーン・モーガンによって歌われ、特に多くのリスナーに愛されています。しかし、実はこの楽曲のルーツは1904年に遡ります。イタリア作曲家フェルモ・ダンティ・マルケッティが作曲した「ヴァルス・ツィガーヌ」（ジプシーのワルツ）が元となっています。

この曲にフランス語の詩をつけたのはモーリス・ド・フェラウディで、彼の手によってシャンソンとしての人気を博しました。初めにこの曲を歌ったのはポーレット・ダルティで、彼女の歌唱によって成功をおさめます。1954年には、ディック・マニングが英語の詩をつけたことで、より広い層にアプローチしました。この変調は海外においても多くのアーティストに影響を与えるのでした。

1957年、映画『昼下りの情事』においてこの魅惑的なワルツが主題歌として使用されます。ゲイリー・クーパーやオードリー・ヘプバーン、モーリス・シュバリエなどの有名な俳優が出演したこの映画では、曲の効果的な使用が印象に残ります。この映画の日本での公開は、1957年8月15日でした。日本ではデヴィッド・キャロルのバージョンがラジオ東京のベストテンで8位にランクインし、その後9月28日には第1位を獲得するなど、ヒット曲としての地位を確立しました。

アメリカでは、ディック・マニングの英詩を耳にしたジェーン・モーガンのレコードが大ヒットとなりました。ビルボード誌のチャートでは、1957年9月16日号では第4位に、さらに9月23日号では第5位にランクインしています。その人気は衰えることなく、同年にはダイナ・ショア（全米15位）やディック・ジェイコブス（全米17位）、デビッド・キャロル（全米56位）など、さまざまなアーティストがカバーし、それぞれがチャート入りを果たしました。

この曲には多くのカバー録音が存在します。たとえば、1914年にPrince's Orchestraが全米6位を記録したバージョンや、映画のサウンドトラック（1957年、米Verve）、さらには1958年にビリー・ヴォーン、ロジャー・ウィリアムス、1961年にパット・ブーン、1963年にはコニー・フランシスなど、多数のアーティストによる名演が生まれてきました。

『魅惑のワルツ』は、数々の名演奏とともに、今なお多くの人々に親しまれる楽曲です。その美しさと魅力は、世代を越えて愛され続けています。音楽の歴史において、この曲が持つ重要性は計り知れません。

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