魏鳳和

魏鳳和（ウェイ・フォンホー）

魏鳳和（ぎ ほうか、英語: Wei Fenghe）は、1954年2月生まれの中華人民共和国の政治家、軍人です。彼は中国人民解放軍において重要な地位を歴任し、副総参謀長、第二砲兵部隊司令員、ロケット軍司令員などを務めました。また、党中央委員会委員、党中央軍事委員会委員、国家中央軍事委員会委員、そして国防部長といった要職を歴任し、最終階級は上将でした。

経歴

1954年2月、魏鳳和は山東省聊城市茌平県温陳郷に生まれました。1968年9月に中国人民解放軍に入隊し、第二砲兵指揮学院で学びました。軍歴の初期には、第二砲兵部隊第54基地参謀長（2001年）、総装備部副部長（2002年1月）、第二砲兵部隊第53基地司令員（2002年12月）を歴任しました。2003年には少将に昇格し、その後2005年に第二砲兵部隊副参謀長、2006年に第二砲兵部隊参謀長に任命されました。

2007年10月21日、第17回党大会において党中央委員会候補委員に選出され、2008年には中将に昇格しました。2010年12月には副総参謀長に栄転となり、戦略ミサイル部隊を扱う第二砲兵部隊からの副総参謀長就任は異例のことでした。

2012年10月、第二砲兵部隊司令員に任命され、11月14日には第18回党大会において党中央委員に選出されました。翌11月15日には共産党第18期1中全会において党中央軍事委員会委員に選出され、11月23日には上将に昇格しました。2013年3月15日、第12期全国人民代表大会第1回会議において中華人民共和国中央軍事委員会委員に選出されています。

2015年12月31日に第二砲兵部隊が改編されてロケット軍が新設されると、引き続きロケット軍司令員に任命されました。2017年9月にロケット軍司令員職を副司令員の周亜寧と交代し、2018年3月18日には第13期全国人民代表大会第1回会議において国家中央軍事委員会委員に再選。翌3月19日には同会議において国務委員兼国防部長に任命されました。

国防部長としての活動

国防部長として、魏鳳和は国際舞台で中国の立場を強く主張しました。2018年6月には、国防部長として8年ぶりにアジア安全保障会議に出席し、米中貿易戦争に関して「アメリカが対話を望むならドアは開いている。アメリカが戦いたいなら戦う用意は出来ている」と演説しました。また、台湾が独立すれば「全犠牲を払っても戦争も厭わない」とも述べました。さらに、六四天安門事件についても「騒乱を治めるために正しい対応をした。中国は安定と発展を享受している」と発言し、注目を集めました。同年9月には、中国とモンゴルが初参加した冷戦後最大の軍事演習「ボストーク2018」をロシアのプーチン大統領らと視察し、ロシアのショイグ国防相との会談で定期的に中国とロシアは同様の演習を実施することで一致しました。

2022年6月10日、アジア安全保障会議に出席するため訪問していたシンガポールで、アメリカのロイド・オースティン国防長官と初の会談を行いましたが、台湾問題などで双方が意見を主張し合い、平行線をたどりました。2日後の12日には記者会見の中で台湾問題に触れ、「（独立を阻止するため）最後の最後まで戦う」と表明しました。

退任後の動向

2023年3月に国防部長を退任し、後任には李尚福が就任しました。退任後、魏鳳和の動静は長期間にわたり不明となり、2024年2月に行われた共産党指導部が引退した指導者を慰問する恒例行事でも、魏鳳和の名前が慰問先リストになかったことから、その立場に何らかの異変が起こっているのではないかと推測されました。しかし、同年5月6日に中国中央電視台が報じた共産党幹部の葬儀を報じる会場の映像に、魏鳳和の名前が書かれた花輪が映り込んでいたことから、政治的に安全な状況にある可能性も指摘されていました。しかし同年6月27日の政治局会議で収賄や規律違反の容疑で李尚福とともに党籍剥奪処分が決定。中央軍事委員会は魏と李の軍からの除名と、魏のロケット軍上将、李の陸軍上将の階級取り消しを決めた。

魏鳳和の経歴は、中国人民解放軍における重要な役割と、国際社会における中国の立場を代表するものでした。

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