魔弾の射手

魔弾の射手

『魔弾の射手』（Der Freischütz）は、カール・マリア・フォン・ウェーバーが作曲した全3幕のオペラで、作品番号77、J. 277に分類されます。このオペラの台本は、ヨハン・アウグスト・アーペルやフリードリヒ・ラウンによる『怪談集』を基にしており、ヨーハン・フリードリヒ・キントによって文学的に展開されています。初演日は1821年6月18日、場所はベルリンの王立劇場でした。日本では1947年に長門美保歌劇研究所の公演で初めて上演されました。

概要

『魔弾の射手』というタイトルは、ドイツの民間伝説に登場する「魔の弾」が登場することから取られています。この伝説によれば、射手は6発の弾を自由に命中させることができますが、残りの1発は悪魔の意のままに飛んでいくとされています。このオペラは、1650年頃のボヘミアを舞台にしており、当時のドイツ＝神聖ローマ帝国の影響を色濃く反映しています。

ドイツの民話にインスパイアされたこの作品は、魔物が潜む神秘的な森や、封建時代の人々の日常生活が描かれており、ドイツ・ロマン主義の確立に貢献した重要な作品とされています。その新鮮な音楽は、後の音楽家にも多大な影響を与えました。特に序曲は有名で、冒頭の旋律は賛美歌『主よ御手もて引かせ給え』としても知られています。また、ワーグナーのライトモティーフとなる演出手法も、この作品に見られます。

登場人物

• - マックス: 若い狩人。射撃の名手だが、スランプに陥っています。
• - アガーテ: マックスの恋人。
• - カスパール: マックスの仲間で、悪魔と契約しています。
• - クーノー: アガーテの父で森林保護官。
• - エンヒェン: アガーテの従妹。
• - オットカール侯爵: ボヘミアの領主。
• - 隠者: 知恵者.
• - キリアン: 富農。
• - ザミエル: 悪魔で、魔弾の製法を教えます。

楽器編成

オーケストラは、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、弦五部で構成されており、舞台には追加の楽器も使用されます。

あらすじ

第1幕

狩人のマックスは、明日に控えた射撃大会の予行演習を行っていましたが、的に当てることができずにいました。恋人のアガーテの父・クーノーは、明日の射撃の結果次第で娘との結婚を許可するか決めると言っています。マックスの友人カスパールは、彼を「人々が恐れる狼谷に来れば助けてやる」と誘い出します。

第2幕

その晩、アガーテの部屋を訪れたマックスは狼谷へ行くことを告げ、向かいます。カスパールは悪魔ザミエルに魔弾を作らせる契約を交わし、魔弾が製造される過程でマックスが加わることになります。

第3幕

射撃大会の日、アガーテは結婚式に備えて着飾りますが、葬儀用の花冠を見つけてしまいます。隠者から受け取った白いバラを使用して新たな花冠を作り、それを身に着けました。一方、射撃大会でマックスは魔弾の力で素晴らしい成績を残しますが、最後の弾でアガーテに命中しそうになり、慌てて発射を止めます。その後、カスパールが運命に翻弄され、死んでしまいます。

領主に全てを告白するマックスは、激怒した領主に追放されますが、隠者が彼を助け、結婚を許されることになります。

備考

このオペラは多くの影響を及ぼし、T.M.Revolutionの楽曲や、特撮ドラマ、漫画などのさまざまなメディアに引用されています。

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