魔物語 愛しのベティ

魔物語 愛しのベティ：愛と冒険に満ちた異色のファンタジーラブコメ

『魔物語 愛しのベティ』は、小池一夫の原作と叶精作の作画による、1980年から1985年にかけて『ビッグコミックオリジナル』で連載された人気漫画作品です。単行本は全17巻というボリュームで、後に復刻版や文庫版も刊行されました。1986年にはOVAとして劇場公開もされています。

本作は、一見するとヤクザと魔女という異色の組み合わせながら、愛をテーマに据えた、奥深い物語となっています。小池一夫自身も「愛」こそが本作の主題だと語っています。

物語の始まり：運命的な出会い

物語は、廃墟と化した炭鉱町で幕を開けます。主人公は、任侠道を生きる三下ヤクザの肝川胆平。彼は親分の仇討ちに向かう途中、怪我をして倒れ込みます。そこで出会うのが、マントの下に全裸の姿を隠した、美貌の少女、ベティ・バレンタインでした。ベティは、実は大魔女だったのです。

胆平は、ベティの手当てを受けますが、彼女の美しさに圧倒され、つい彼女の胸に触れてしまいます。しかし、その直後、何者かに殴られて気を失ってしまいます。その後、親分の仇討ちをしようとしますが、逆に命を落としてしまいます。

ここで、ベティが驚くべき力を発揮します。彼女は胆平を蘇生させ、さらに仇を討ってくれるのです。この出会いが、胆平とベティの運命を大きく変える転換点となりました。

愛と成長：人間と魔女の絆

最初はベティを利用してヒモのような生活を送っていた胆平ですが、人間界と魔界を巻き込む様々な出来事を経る中で、徐々に変化していきます。ベティとの愛、そして後に生まれる娘・ドーターとの家族愛を通して、彼はヤクザの道を捨て、堅実な生活を目指すようになるのです。

ベティもまた、人間界での生活、そして魔界の掟との葛藤の中で、胆平への愛を深めていきます。二人は、幾多の困難を乗り越え、幸せな家族を築いていくのです。

魅力的な登場人物たち

本作には、胆平とベティ以外にも魅力的な登場人物が数多く登場します。ベティの乳母であるメリー・ピンポン、ベティの使い魔である骨（オプト）、ベティの従者であるヤーレンソラやヒポクレトスなど、個性豊かな魔界の住人たち。そして、胆平の周囲には、照岩百代や板倉といった人間界の人々が存在し、彼らとの交流も物語を彩ります。さらに、ミューズといった神の存在も物語に深みを与えています。

OVAと主題歌

『魔物語　愛しのベティ』は、1986年にOVAとして劇場公開されました。漫画の序盤部分をベースにした作品で、アダルトアニメとしてリリースされたため、劇場公開時にはR指定を受けています。主題歌は伊藤かずえが歌う「あ・な・た・にアムール」で、作品の世界観とマッチした名曲となっています。

まとめ：愛の形の多様性を描いた傑作

『魔物語　愛しのベティ』は、ヤクザと大魔女のロマンスという斬新な設定、人間と魔界の交流、そして様々な愛の形を描いた、他に類を見ないファンタジーラブコメです。個性豊かな登場人物たち、ハラハラドキドキする展開、そして何よりも愛の物語として、多くの読者・視聴者の心を掴んで離さない作品となっています。OVAも合わせて、ぜひ一度ご覧になってみてください。

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