魚住陽子

魚住 陽子（うおずみ ようこ）は、1951年10月23日に生まれ、2021年8月22日にその生涯を終えた日本の小説家です。本名は加藤陽子。

生い立ちと初期の活動

埼玉県小川町で育ち、地元の埼玉県立小川高等学校を卒業しました。高校卒業後は紀伊國屋書店に勤務。書店での仕事と並行して文芸活動への関心を深め、同人誌で詩を書き始めました。小説創作に本格的に取り組み始めたのは、池袋コミュニティ・カレッジの小説講座で学んだことがきっかけです。この講座を通して、同人誌『こみゅにてぃ』に自身の小説作品を発表するようになりました。

小説家としての評価

魚住陽子は、その独特の感性と繊細な筆致が早くから文壇の注目を集めました。1989年には「静かな家」で芥川龍之介賞候補となり、同年には「奇術師の家」で第1回朝日新人文学賞を受賞し、小説家としての地位を確立します。

その後も精力的に作品を発表し、高い評価を得ます。1991年には「別々の皿」が再び芥川賞候補に選ばれ、同年には「公園」が三島由紀夫賞候補となりました。「雪の絵」や「公園」といった作品集も刊行されています。

1993年には「流れる家」で三度目の芥川賞候補となります。また、1996年には作品集『動く箱』が野間文芸新人賞候補に選ばれるなど、受賞には至らないものの、常に主要な文学賞の候補に挙げられる実力派作家でした。その作品は、日常の中に潜む心の動きや、独特の静謐な雰囲気を纏っていると評されました。

その他の活動と晩年

小説執筆に加え、魚住陽子は個人誌「花眼」を創刊し、独自の文学活動を展開しました。晩年には俳人としても活動しました。

主な著書

『奇術師の家』（朝日新聞社、1990年）
『雪の絵』（新潮社、1992年）
『公園』（新潮社、1992年）
『動く箱』（新潮社、1995年）
『水の出会う場所』（駒草出版ダンク出版事業部、2014年）
『菜飯屋春秋』（駒草出版、2015年）
* 『夢の家』（駒草出版、2022年）

逝去

2021年8月22日、腎不全のため70歳で逝去しました。

魚住陽子は、静かで内省的な筆致で人間の心を深く描き出した作家でした。

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