魚木忠一

魚木 忠一（うおき ただかず）

1892年7月31日、愛媛県松山市に生を受ける。日本のプロテスタント神学者であり、同志社大学で長年にわたり神学部および大学院の研究科教授を務めた人物である。文学博士の学位を有していた。

経歴

愛媛県松山市に生まれ育ち、地元の松山夜学校（現在の松山学院高等学校）で学んだ。5年間の在学後、同校の教壇に立ち、校長であった西村清雄から人間形成と学問の両面で深い影響を受けた。1917年には同志社大学神学部へ進み、卒業後の1922年からは海外での研鑽を積んだ。アメリカではシカゴ大学、ユニオン神学校、コロンビア大学で、ドイツではマールブルク大学神学部で学んだ。特にニューヨークのユニオン神学校では、教会史研究で知られるアーサー・C・マッギファートから大きな薫陶を受けた。

海外での学びを終え帰国した後の1927年、同志社大学文学部神学科の講師に就任し、1930年には教授へ昇任した。神学者としての教育・研究活動に加え、1941年10月には神戸教会で開催された日本基督教団第三部第一回総会において按手礼を受け、同教団の信仰職制委員や教師検定委員といった要職を務めた。また、第二次世界大戦中の1943年から1944年にかけては、日本西部神学校においても教鞭をとった。

終戦後の1952年には、同志社大学の宗教部長に就任。さらに1954年7月には神学部長という重責を担った。しかし、改革への志半ばであった1954年12月10日、脳出血により急逝した。

著作

教会史や日本基督教に関する著作を複数発表している。

『近世基督教会史概観』（基督教研究会、1934年）
『日本基督教の精神的伝統』（基督教思想叢書刊行会、1941年）
『日本基督教の性格』（日本基督教団出版局、1943年）
『基督教精神史研究』（全国書房、1948年）
* 『新島襄・人と思想』（同志社大学出版部、1955年）

評価

魚木忠一の神学者としての功績や歴史における位置づけについては、現在でも様々な見方があり、評価が定まっていない。例えば、作家で評論家の佐藤優は、魚木を「日本における20世紀最大の神学者」として高く評価している。一方で、歴史学者のw:中村敏は、彼が「時局に迎合した日本的基督教の運動を担った」と批判的な立場をとっている。

その生涯と業績は、同志社大学や日本基督教団の歴史の中で重要な一頁を占めているが、その評価は論者によって大きく分かれているのが現状である。

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