魚本藤吉郎

魚本藤吉郎（うおもと とうきちろう）

魚本藤吉郎は、1917年11月29日に生まれ、1988年3月31日に逝去した日本の外交官です。特に、在ソビエト連邦特命全権大使や財団法人交流協会の理事長を務めたことで知られています。彼の生涯は、激動の20世紀における日本の外交史と深く関わっています。

人物

愛媛県西宇和郡八幡浜町（現在の八幡浜市）出身の魚本は、山口高等商業学校を経て、1941年に東京商科大学（現在の一橋大学）を卒業しました。大学時代は、経済学者の中山伊知郎のゼミナールに所属し、「景気変動に関する二つの研究」というテーマで卒業論文を執筆しました。この学問的な背景が、後の外交官としての活動にどのように影響したかは、興味深い点です。

卒業後、外務省に入省し、外交官としてのキャリアをスタートさせました。外務省では、中近東アフリカ局長などの要職を歴任し、その後、在ソビエト連邦特命全権大使という重要なポストを任されました。さらに、日中関係の発展に寄与する財団法人交流協会の理事長も務め、幅広い分野で活躍しました。

経歴

魚本の外交官としてのキャリアは、以下のような変遷を辿りました。

1917年: 愛媛県西宇和郡八幡浜町で誕生。
1941年: 東京商科大学（現在の一橋大学）を卒業後、外務省に入省。
1943年: ソ連経由でポルトガルに赴任するも、途中で肺を患う。
1944年: スイス・ダボスの療養所で療養。
1945年: ダボスで終戦を迎え、陸軍関係者として帰国。
1956年: 在デンマーク日本国大使館一等書記官に就任。
1960年: アメリカ局安全保障課長に就任。
1961年: 外務大臣官房人事課長に就任。
1966年: 国際連合日本政府代表部参事官に就任。
1970年: 外務省中近東アフリカ局長に就任。
1972年10月 - 1975年9月: 在シンガポール特命全権大使として勤務（「在クウェート日本大使館占拠事件」関連の対応も担当）。
1976年3月 - 1978年6月: 在エジプト特命全権大使として勤務。
1978年 - 1982年: 在ソビエト連邦特命全権大使として勤務。
1981年 - 1986年: 財団法人交流協会の理事長を務める。

特に、在ソビエト連邦大使時代は、冷戦という国際的な緊張が高まる中で、ソ連との関係改善に尽力しました。また、交流協会理事長としては、日本と中国の間の文化交流や相互理解を促進するための活動に力を注ぎました。

外務省同期

魚本と外務省で同期だった人物には、以下のような人々がいます。

西堀正弘（国連大使）
内田宏（駐仏大使）
吉野文六（駐独大使）
奈良靖彦（駐加大使）
* 人見鉄三郎（駐コスタリカ大使）

これらの同期たちは、それぞれの専門分野で日本の外交に貢献しました。魚本を含め、彼らの存在は、当時の日本の外交官層の厚みを示すものと言えるでしょう。

魚本藤吉郎は、その生涯を通じて、日本の外交に多大な貢献をしました。彼の経験と知識は、現代の国際関係を理解する上でも貴重な示唆を与えてくれるでしょう。

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