魚梁瀬ダム

魚梁瀬ダムについて

魚梁瀬ダム（やなせダム）は、高知県安芸郡北川村に建設された、奈半利川本流の最上流部に位置するダムです。電源開発が管理するこの発電用ダムは、その堤体の高さが115.0メートルに達し、四国地方で最も高さを誇ります。型式はロックフィルダムであり、同型式のものとしては西日本最大です。ダムによって形成された人造湖は魚梁瀬貯水池（やなせちょすいち）と呼ばれ、規模としては早明浦ダムに次ぐ大きさを誇ります。このダムは北川村に位置していますが、貯水池のほとんどは馬路村にあります。

沿革

奈半利川は全長約110キロメートル、流域面積約311平方キロメートルを持つ中規模河川であり、高知県の多雨地域に流れるため水量が豊富です。この急流を利用して水力発電が計画され、戦後の電力需要の増大とともに奈半利川の開発が注目されました。1950年代には四国中央電力や四国電力といった事業者が開発計画を競い合っていました。

最終的に、1953年に電源開発株式会社が奈半利川の水力発電事業の管理を担うこととなり、計画が本格化しました。これにより、奈半利川に巨大ダムと発電所を建設する大規模なプロジェクトがスタートし、その名が魚梁瀬ダムに決定されました。

補償

ダム計画が発表されると、周辺地域の住民は自分たちのコミュニティや生業に影響を与えるとして強く反対しました。特に水没する魚梁瀬地区の住民にとって、林業が主要な生業であったため、ダム建設は致命的な打撃となる懸念がありました。反対運動が続く中、地域の住民は電源開発に対し、代替地の提供や補償を求めました。

高知県知事の提案を受け、電源開発は新たに代替地を整備し、住民たちを移転させるプランを打ち出しました。この結果、多くの住民が移転に応じ、約八割に当たる住民が新しい居住地へと移りました。そして、1970年にはダムと魚梁瀬発電所が完成し、正式に運用を開始しました。

目的

魚梁瀬ダムは元々アーチ式ダムとして建設が検討されましたが、実際にはロックフィルダムとして完成しました。このダムは水力発電専用であり、その下に設けられた魚梁瀬発電所は36,000キロワットの発電能力を持ちます。これにより、奈半利川水系全体の電力供給に重要な役割を果たしています。

下流には、久木ダムと平鍋ダムという別のダムもあり、これらと併せて合計145,100キロワットの電力を生み出しています。これらの電力は中国地方や四国地方の需要に応えるために供給されています。

観光

ダム完成後、馬路村は地域おこしに取り組むようになり、スギやユズなどの特産品を活かした村づくりが進められました。特に「魚梁瀬スギ」は高知県のシンボル的存在として知られています。ダム周辺の観光地化も進み、春には桜の名所となり、オートキャンプ場なども利用されています。さらに、釣りスポットとしても人気があり、ダム周辺の自然を楽しむ人々に親しまれています。

アクセス

魚梁瀬ダムへのアクセスは、高知自動車道・南国インターチェンジから国道32号や高知県道を利用する方法があります。公共交通機関では、土佐くろしお鉄道阿佐線の安田駅からバスが運行されており、便利に訪れることができます。周辺の道路は狭いため、運転には注意が必要ですが、自然豊かな景観を見ることができる魅力的な場所です。

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