魚津しんきろうマラソン

魚津しんきろうマラソン（うおづしんきろうマラソン）は、富山県魚津市で毎年4月の第4日曜日に開催される、県内でも歴史のある市民参加型マラソン大会です。富山湾沿いの景勝地であり、春先に神秘的な蜃気楼が現れることでも知られる「しんきろうロード」をコースの一部に含むことが最大の特徴となっています。

歴史

本大会は1981年に「健康魚津蜃気楼ロードレース大会」として初めて開催されました。開始当初は、隣接する黒部市の一部もコースに組み込まれていましたが、1987年度からはコースが見直され、黒部市内のルートから変更され、魚津市内の「しんきろうロード」が主要なコースの一つとして組み込まれることとなりました。このコース変更は、大会名にも冠されている「蜃気楼」の景観をランナーに体感してもらうという、大会のコンセプトをより明確にするものでした。

大会名称も時代と共に変化し、1991年度には「しんきろうロードレース大会」と改称され、さらに1995年度より現在の「魚津しんきろうマラソン」という名称が用いられるようになりました。大会の質も向上し、1993年には主要種目であるハーフマラソンおよび10kmの部が、日本陸上競技連盟の公認コースとして認定されています。これにより、本大会で樹立された記録が公式なものとして認められるようになり、競技性の高い大会としても位置づけられています。

種目

本大会では、幅広い年齢層やレベルのランナーが参加できるよう、複数の種目が設けられています。主要な種目は以下の通りです。

ハーフマラソンの部: 18歳以上（高校生は除く）を対象とし、日本陸上競技連盟公認コースである「しんきろうロード」を含む本格的なレースです。
10kmの部: 高校生以上が参加可能で、こちらも日本陸上競技連盟公認コースとなっています。
5kmの部: 中学生以上が対象です。
3kmの部: 小学4年生から6年生が参加できます。
2kmジョギングの部: 小学1年生以上であれば誰でも参加できる種目で、タイム計測のないファンラン要素の強い部門です。

コース・スタート地点

コースは魚津市内の富山湾沿いをメインに設定されています。スタート地点は種目によって異なり、ハーフマラソンの部はDSフォート魚津北鬼江店前、その他の種目（10km、5km、3km、2kmジョギング）はありそドーム前がスタート地点となります。

なお、2009年度までは、魚津水族館が全ての種目のスタート地点として使用されていました。現在のスタート地点への変更は、大会運営の都合やコース設定の最適化などが考慮されたものと考えられます。

運営体制

本大会は、地元の自治体やスポーツ団体、報道機関などが一体となって運営されています。主な運営組織は以下の通りです。

主催: 魚津市、（公財）魚津市スポーツ協会、富山陸上競技協会
共催: 魚津市教育委員会、北日本新聞社
後援: NHK富山放送局、北日本放送、富山テレビ放送、チューリップテレビ、NICE TV、新川コミュニティ放送

これらの組織の協力により、大会は円滑に開催され、地域の活性化にも寄与しています。

近年の開催状況

近年は、世界的な新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の流行が大会にも影響を及ぼしました。特に、記念すべき第40回大会が予定されていた2020年は、感染拡大防止の観点から開催が中止されました。翌2021年も本大会の開催は見送られましたが、代替措置として、富山県内在住者に限定した小規模な代替イベント「日本風景街道（蜃気楼ロード）ミニマラソン」が2021年4月25日に実施されました。この代替大会では、2kmと5kmの種目のみが行われ、感染対策を講じながら地域住民が体を動かす機会が提供されました。

本大会は、美しい富山湾と、春の時期に運が良ければ見られる神秘的な蜃気楼の景観の中を走れるという魅力に加え、日本陸連公認コースを持つ競技性の高さも兼ね備えており、県内外から多くのランナーが参加する人気の大会となっています。

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