魯迅公園

魯迅公園：上海の歴史と文化が息づく場所

魯迅公園は、上海市虹口区に位置する広大な都市公園です。その名は、中国を代表する小説家、魯迅に由来します。かつて虹口公園と呼ばれていたこの場所は、単なる公園以上の意味を持ち、上海の歴史、文化、そして魯迅の足跡を今に伝える貴重な場所となっています。

歴史

魯迅公園の歴史は、清朝時代の1896年に遡ります。当時、上海共同租界工部局が農地を取得し、「虹口娯楽場」として西洋式庭園を造営しました。この地域は日本人居留者が多く、日本租界とも呼ばれていました。1922年に「虹口公園」と改称された後、1932年には上海天長節爆弾事件が発生するなど、激動の時代を経験します。日中戦争時には日本軍によって軍事用地として接収され、終戦後の1945年には「中正公園」と改名されましたが、1950年に再び虹口公園へと戻りました。1988年に魯迅公園と改称され、現在に至ります。

魯迅との関わり

魯迅は1927年に上海へ移住し、虹口公園近くに居を構え、生前この公園を散策していました。彼の死後、当初は万国公墓に埋葬されましたが、1956年に魯迅公園内に改葬されました。公園内には魯迅紀念館や魯迅記念亭が建てられ、彼の功績を偲ぶことができます。

公園の特徴

魯迅公園は、長年にわたる改造を経て、西洋式庭園の面影を残しつつも、中国庭園風の色彩が強くなっています。園内には、上海虹口足球場（サッカークラブ、上海申花のホームスタジアム）、魯迅墓、魯迅紀念館、中日友好広場、梅亭（尹奉吉の資料館）などの施設があります。早朝には、社交ダンスや太極拳を楽しむ人々で賑わい、市民の憩いの場として親しまれています。

アクセス

魯迅公園へのアクセスは、地下鉄3号線または8号線の虹口足球場駅で下車し、徒歩約10分です。

まとめ

魯迅公園は、歴史的な背景、魯迅との深い関わり、そして美しい景観が調和した魅力的な公園です。上海を訪れる際には、ぜひ足を運んで、魯迅の足跡を辿りながら、公園の雰囲気を満喫してください。

参考文献

竹内実著『中国という世界－人・風土・近代』（2009年）岩波新書
藤井省三著『魯迅－東アジアを生きる文学』（2011年）岩波新書

関連項目

* 魯迅記念広場 - 魯迅が仙台市に留学していた時期に住んでいた下宿があった場所に整備された公園。

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