鮑隆

鮑隆（ほう りゅう）の物語

鮑隆は、中国の著名な通俗歴史小説『三国志演義』に登場する架空の武将です。彼の存在は、後漢の末期における歴史的な背景の中で描かれ、物語に一層の深みを与えています。一部の著作では彼の名前が「鮑龍」と記されることもありますが、どちらも同一人物を指しています。

背景と職務

鮑隆は、桂陽の太守である趙範に仕官しており、その役職は管軍校尉です。彼は同僚の陳応と共に元は狩猟を生業としていました。鮑隆は過去に2頭の虎を射殺した経験を持っており、この逸話からも彼の武勇がうかがえます。実際、吉川英治の小説『三国志』では彼が虎を生け捕りにするという異なる描写もされていますが、いずれにしても彼の力強さは評価されています。

趙雲との対立

物語の中で、劉備の部将である趙雲が桂陽に進軍してきます。鮑隆と陳応は、趙雲の攻撃に備えて迎撃の準備をしますが、陳応は趙雲に敗北してしまいます。この敗戦の後、太守の趙範は降伏を余儀なくされますが、その後の行動が事態をさらに複雑にします。趙範は、彼の兄嫁を趙雲の妻に推薦するという不適切な行動を取り、これに対して趙雲は非常に怒り、趙範を殴ります。

陰謀とその結末

この侮辱を恨んだ趙範は、鮑隆と陳応を慰問の名目で呼び寄せ、暗殺計画を企てます。彼らは趙雲を襲撃しようとしましたが、趙雲が酒を勧めると、二人はその酒に酔ってしまい、警戒を怠ったために捕らえられてしまうこととなります。奴隷たちの証言により、暗殺計画が露呈し、鮑隆は陳応と共に処刑の運命を迎えます。こうして、彼の物語は悲劇的な結末を迎えることになります。

鮑隆の影響

鮑隆のキャラクターは、物語において重要な役割を果たしています。彼の行動や決断は、登場人物たちの運命を大きく左右し、その結果が物語全体に影響を与えることになります。彼の存在を通じて、『三国志演義』の物語は単なる戦争の記録ではなく、人間の感情や関係性の織り成す複雑なドラマへと発展していくのです。彼の物語は、歴史的背景とともに文学的な価値をも持ち合わせていると言えるでしょう。

鮑隆の物語は、歴史小説としての魅力を持つ『三国志演義』の中で、武将たちの友情や敵対、運命の変転を描く一つの典型例です。

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