鱗片

鱗片（りんぺん）とは

鱗片（スケール、scale）とは、生物の体表に見られる、鱗状の構造物の総称です。その形状や機能は生物種によって大きく異なり、植物から動物まで、幅広い生物に見られます。ここでは、植物と動物における鱗片の多様な例とその特徴について詳しく解説します。

植物における鱗片

植物における鱗片は、大きく分けて2つのタイプがあります。

1. 鱗毛（りんもう）：
鱗毛（ラメンタム、ramentum）は、シダ植物の仲間である薄嚢シダ類やリュウビンタイ類に特有の毛状突起です。根茎や羽葉に生え、2列以上の細胞列から構成されます。鱗毛は、植物体を保護する役割や、水分保持に役立つと考えられています。

2. 鱗片葉（りんぺんよう）：
鱗片葉とは、植物の葉が変形して鱗状になったものです。その例として、タケノコの皮、ユリ科植物の球根（鱗茎）を覆う皮、ギンリョウソウの茎を覆う組織などが挙げられます。
また、球果植物（マツやスギなど）の雌性胞子嚢穂（球花）も鱗片葉が集合したものであり、一つ一つの鱗片は種鱗と苞鱗、胚珠が結合した複雑な構造（種鱗複合体）をしています。これらの鱗片は、種子を保護する役割を果たします。

動物における鱗片

動物における鱗片は、さらに多様な形態と機能を持っています。

1. 扁平版（へんぺいばん）：
扁平版（エリトロン、elytron）は、多毛類の一種であるウロコムシの背中に、左右2列に並んだ板状の構造です。これは体を保護する役割や、移動を助ける役割があると考えられています。

2. 鱗粉（りんぷん）：
鱗粉（スケール、scale）は、チョウ目の昆虫（チョウやガ）の翅を覆う、微細な毛状または葉状の構造物です。鱗粉は、翅の色や模様を作り出すだけでなく、防水や体温調節にも関わっています。

3. 触角鱗（しょっかくりん）：
触角鱗（スクアマ、squama）は、甲殻類において、第二触角の外枝が扁平な刃状になったものです。触角鱗は、遊泳や感覚に関わっていると考えられています。


このように、鱗片は生物界において、多様な形態と機能を持つ構造であり、それぞれの生物が環境に適応するために重要な役割を果たしています。

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