鳥居忠意

鳥居忠意：激動の時代を生きた壬生藩主

鳥居忠意（とりい ただおき）は、享保2年（1717年）に生まれ、江戸時代中期から後期にかけて活躍した大名です。下野壬生藩の第3代藩主であり、鳥居家7代当主として藩政を担いました。

吉宗に見出された若き才能

忠意は、容姿端麗であったことから、第8代将軍・徳川吉宗に才能を見出されました。吉宗への拝謁後、異例の抜擢を受け、将軍の名代として日光東照宮への代参役を何度も務めました。この際、将軍家から葵紋入りの羽織を与えられたことは、忠意にとって大きな名誉であり、その後の活躍を後押しする象徴となりました。

幕政への参与

忠意は、延享4年（1747年）に奏者番に任じられ、宝暦2年（1752年）には寺社奉行を兼務するなど、幕府の要職を歴任しました。宝暦10年（1760年）には若年寄に就任し、幕政に深く関わることとなります。しかし、翌年に吉宗が死去すると、全ての役職を辞任しました。

その後、宝暦12年（1762年）に再び奏者番、寺社奉行、若年寄を兼務し、天明元年（1781年）には西の丸老中、そして本丸老中へと昇進し、幕政の中枢で活躍しました。天明6年（1786年）に徳川家斉が第11代将軍に就任すると、その信任を得て、引き続き老中として幕政を支えました。

晩年の苦難

寛政3年（1791年）に眼病を患い、寛政5年（1793年）には高齢を理由に老中職を辞しました。晩年は不幸が重なり、寛政元年（1789年）には世子であった長男・忠求が早世し、その長男である忠貴を世継ぎと定めたものの、寛政3年（1791年）に廃嫡してしまいます。さらに、寛政6年（1794年）には、後継ぎとしていた四男・忠見が自身に先立って亡くなるという悲劇に見舞われました。

寛政6年7月18日、忠意は78歳で波乱の生涯を閉じました。家督は、忠見の次男である忠燾が継ぐこととなりました。

家族と家臣

正室を亡くした後、多くの側室を抱えましたが、側室同士の諍いが原因で傷害致死事件が起こるなど、家庭内は平穏ではなかったようです。多くの子女に恵まれましたが、その中には大身旗本や他藩の有力者との婚姻関係を結んだ者もおり、鳥居家の勢力拡大に貢献しました。

鳥居忠意の生涯から得られる教訓

鳥居忠意は、その才能と手腕によって幕府の要職を歴任し、藩政にも尽力しました。しかし、晩年は家族の不幸が重なり、失意のうちに生涯を終えました。彼の生涯は、栄光と挫折、そして家族の絆の大切さを私たちに教えてくれます。

鳥居忠意の墓は、東京都文京区の伝通院にあります。彼の功績を偲び、墓前には多くの人々が訪れます。

もう一度検索