鳥居滋夫

鳥居滋夫の生涯と競馬実況の軌跡

鳥居滋夫（とりい しげお、生年：1933年 - 2007年2月23日）は、元文化放送およびフジテレビのアナウンサーとして知られています。静岡県で生まれ育ち、1951年に静岡県立静岡城内高等学校を卒業。早稲田大学で学び、1956年に文化放送に入社しました。その後、1959年には開局したばかりのフジテレビに出向し、1962年には正式にフジテレビに転籍しました。

競馬実況の扉を開く

鳥居は1960年代半ばから1960年代後半にかけて『競馬中継』のメイン実況を担当しました。彼の競馬実況は記憶に新しいもので、1963年の皐月賞において旧八大競走の実況を初めて行いました。このレースでは、優勝馬メイズイの走りを観衆に伝える役割を果たしました。彼は特に、道中の馬の位置や入着馬について、鮮明かつ正確に実況するスタイルで、多くのファンを魅了しました。
その後、1970年代に入ると、実況の多くを後輩の盛山毅に譲りつつも、競馬中継の主要な役割を担い続けました。1973年の東京優駿をもって、彼は競馬実況から身を引くことになります。

彼の実況スタイル

鳥居は彼の実況のスタイルでも知られています。出発からテンポのある声で、各馬の順位を具体的に伝える姿勢が特徴でありました。ある競馬解説者は彼を「伝説の競馬実況アナ」として称賛し、歴代の競馬アナウンサーの中で五指に入ると評しました。
とはいえ、彼は実況中に騎手の名前を繰り返し言及することは少なく、特定の騎手に声を響かせることは滅多にありませんでした。実況中に騎手名を呼ぶことの少なさが、彼のスタイルの一部ともいえます。

1969年の東京優駿では、保田隆芳騎手が乗ったミノルがダイシンボルガードを追いかける様子を実況し、「保田押した！」と叫びましたが、これは特異な発言でした。1972年のスプリングステークスでも、騎手の名前を伝えることがあり、実況の中で吉永正人騎手や福永洋一騎手の名を挙げています。

鳥居滋夫の名フレーズと記憶に残る実況

彼の口癖には「先頭は断然、○○」があり、これは多くの名レースで聞かれました。競馬実況を引退したのは若い40代の頃でしたが、その際には「もう心臓が続かないんです・・・」と述べています。また彼の言葉は、実際の実況内容とは異なることも多く、記憶の中で誤解されることもありました。

彼は数多くのGI級レースの実況を担当し、皐月賞、優駿牝馬、東京優駿などの重要なレースでその名を刻んでいます。1965年の有馬記念では、「シンザンが消えた！」というフレーズは有名ですが、実際の実況では別の経緯があったのです。

最期の日々

2007年の2月23日、鳥居滋夫は肺がんのためにこの世を去りました。彼の死は多くのファンや同僚たちにとって大きな衝撃でした。彼の功績は、現在の競馬実況に多大な影響を与えたことは言うまでもなく、彼の伝えた情熱や技術は今なお、多くの人々の心に残っています。

彼の競馬実況は単なるレースの景色だけではなく、視聴者に強力な体験を提供し、彼の名は今でも語り継がれています。鳥居滋夫の生涯とその活動を振り返ることで、彼の存在がどれほど大きかったのかを再認識することができます。

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