鳥津

鳥津の紹介

鳥津（とりづ）は、愛媛県西宇和郡伊方町にある漁業集落です。佐田岬半島の中央部、伊予灘に面した位置にあり、2005年に行われた合併前の旧・伊方町域に属します。この地域は江戸時代末期、1861年から1867年にかけて開発されました。多様な自然環境と歴史的な背景を持つ鳥津と、その集落の発展の経緯に触れてみましょう。

地理的特性

鳥津は、山肌が海に近づく地形を持ち、平坦な土地が少ないのが特徴です。宇和海側に比べて日照時間が短く、冬季の強風や夏の台風による嵐が頻繁に発生します。これにより、果樹栽培が難しいため、この地域では漁業が主な産業として発展してきました。特に、零細な漁業を営む集落として長い歴史があります。

歴史の足跡

鳥津の発展は、二見浦の漁師・鳥居茂市の訪問によって始まりました。1861年の秋、彼はあまりの魚の豊富さに驚き、蚊帳を使ったイワシの網漁を考案しました。私財を投じて波止（防波堤）の建設に取り組み、1866年に完成しました。この波止の存在が、鳥津のイワシ漁の基盤を築き、集落の成り立ちに大きな影響を及ぼしました。その後、彼は慶応3年に転居を決意し、以後も多くの人々が彼に従い、新たな集落が形成されました。

地名の由来

「鳥津」という地名の由来については、明確な記録が残っていませんが、安政三年の文書に「大鳥津」との記述があります。網代名は、海に関連する小字として使われており、地名の由来となった可能性も考えられています。こうした地名は、歴史的な背景を反映していると言えるでしょう。

愛媛県以外の「鳥津」

「鳥津」の地名は愛媛県以外にも存在します。福岡市博多区や香川県坂出市にも同名の地名があり、地域によって異なる特性を持つことがあります。これからも、こうした地名の背後にある歴史や文化を理解することが重要です。

漁港の変遷

鳥津漁港は、江戸時代末期から漁業の中心地として機能してきました。当初は宇和島藩が推奨するイワシ網が中心でしたが、時代と共に漁業方法も変わり、現在では刺し網や小型底びき網が主流となっています。このような変化は、地域の漁師たちの技術革新や市場ニーズの反映と言えるでしょう。

記念碑と地域の誇り

1985年、鳥津開拓120周年を記念して、鳥津の開発に貢献した先駆者、鳥津茂市翁を称える頌徳碑が建立されました。この碑は、地域の誇りや歴史的な人物の功績を後世に伝える大切な役割を果たしています。地域住民にとって、この碑は重要な文化的遺産となっています。

鳥津は自然環境や歴史的背景から見てもユニークな集落と言えるでしょう。今後もその魅力を探求し続けていくことが、地域活性化の鍵となります。

もう一度検索