鳥越憲三郎

鳥越憲三郎：沖縄と古代日本の研究者

鳥越憲三郎(1914-2007)は、日本の民俗[学者]]、歴史学者として、沖縄、古代日本研究において多大な貢献を果たした人物です。岡山県出身の彼は、関西学院大学文学部卒業後、[[東京教育大学]で博士号を取得しました。

彼の研究は、沖縄と古代日本の歴史・文化に深く関わり、多岐にわたる分野に広がっています。特に、沖縄の宗教、神話、民俗に関する研究は、その後の研究に大きな影響を与えました。1942年には、沖縄県嘱託として祭祀の調査を行い、湧上元雄氏と共に久高島のイザイホーを視察するなど、現地調査にも精力的に取り組んでいました。

鳥越氏の研究の特徴の一つは、フィールドワークを重視していた点です。沖縄での調査だけでなく、中国雲南省へ赴き、日本人の起源を探るなど、常に現場で資料を収集し、分析することで、独自の視点と深い洞察を得ていました。

彼の著作は非常に多岐に渡り、沖縄研究だけでなく、古代日本の神話、宗教、社会構造、そして倭族の起源や古代国家の成立過程にまで及んでいます。『琉球宗教史の研究』、『出雲神話の成立』、『おもろさうし全釈』などは、いずれもその分野における重要な著作として高く評価されています。また、『古事記は偽書か』など、既存の学説に大胆に異議を唱える著作も発表しており、常に独自の視点で歴史を読み解こうとする姿勢がうかがえます。

さらに、鳥越氏は、古代日本の政治構造や天皇制の起源にも関心を寄せ、『神々と天皇の間 大和朝廷成立の前夜』、『天皇権の起源』などの著作で、独自の解釈を提示しました。これらの著作は、古代日本の歴史研究に新たな視点を提供したと評価されています。

彼はまた、日本の民俗文化についても深い造詣を持ち、『歳時記の系譜』、『日本人の生活文化史』などの著作を発表しました。これらの著作では、日本の伝統文化の奥深さや多様性を明らかにしており、日本文化の理解を深める上で重要な役割を果たしました。

鳥越憲三郎は、大学教授としての職務の傍ら、精力的に執筆活動を続け、数多くの著書、論文を発表しました。その業績は、沖縄研究、古代日本研究、さらには日本の民俗文化研究に大きな足跡を残しました。彼の著作は、今日でも多くの研究者や一般読者によって高く評価されており、その学問的貢献は計り知れません。

主な著書を以下に示します。

単著

『琉球古代社会の研究』(三笠書房)
『琉球宗教史の研究』(角川書店)
『出雲神話の成立』(創元社)
『おもろさうし全釈』(清文堂出版)
『沖縄の神話と民俗 「おもろさうし」のふるさと考』(太平出版社)
『神々と天皇の間 大和朝廷成立の前夜』(朝日新聞社)
『沖縄庶民生活史』(雄山閣出版)
『古事記は偽書か』(朝日新聞社)
『伊勢神宮の原像』(講談社)
『吉備の古代王国』(新人物往来社)
『大いなる邪馬台国』(講談社)
『神がみのエロス 古代日本人の性意識』(新人物往来社)
『天皇権の起源』(朝日新聞社)
『歳時記の系譜』(毎日新聞社)
『近世宮座の成立』(弘文堂)
『詩歌の起源 琉球おもろの研究』(角川書店)
『日本人の生活文化史 2 箸と爼』(毎日新聞社)
『原弥生人の渡来』(角川書店)
『倭族から日本人へ』(弘文堂)
『大嘗祭 新史料で語る秘儀の全容』(角川書店)
『古代史への道』(ブレーンセンター・なにわ塾叢書)
『古代朝鮮と倭族 神話解読と現地踏査』(中公新書)
『弥生の王国 北九州古代国家と奴国の王都』(中公新書)
『稲作儀礼と首狩り』(雄山閣出版)
『古代中国と倭族 黄河・長江文明を検証する』(中公新書)
『女王卑弥呼の国』(中央公論新社)
* 『中国正史倭人・倭国伝全釈』(中央公論新社)

共編著、記念論文集なども多数

鳥越憲三郎の研究は、その後の沖縄研究や古代史研究に大きな影響を与え、現在も多くの研究者や歴史愛好家から高く評価されています。彼の生涯と業績は、歴史研究における探究心と、現地調査の重要性を示すものと言えるでしょう。

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