鳥飼駅

鳥飼駅の概要

鳥飼駅（とりかいえき）は、かつて福岡県福岡市城南区に存在した、日本国有鉄道（国鉄）筑肥線の駅です。この駅は、1925年に北九州鉄道によって開業され、1937年には国有化されて国鉄の一部となりました。しかし、1983年に筑肥線の博多 - 姪浜間の廃線に伴い、駅も閉鎖されることとなりました。

歴史

駅の開業は1925年6月15日で、当初の住所は塩屋町一丁目とされていました。開業から12年後の1937年、国有化により国鉄の駅へと変わり、その後は多くの利用客を受け入れました。特に1960年代以降の人口増加により、駅周辺に公団住宅が建設されたことが利用者数を押し上げました。特に学生による利用が目立ち、1967年から1972年の間には年間の切符販売枚数が急増し、小荷物の取り扱い数も倍増するなど、利用客に恵まれた駅となったのです。しかし、1983年には廃線が決定し、その結果鳥飼駅も閉鎖されました。

駅の構造

鳥飼駅は、島式ホームを持つ交換可能な駅でした。ホームは1面2線設置されており、駅舎は木造の平屋建てでした。そのため多くの側線があり、貨物輸送のためのトラックが駅舎旁に乗り付けることも頻繁に見られました。広大な敷地内には、毎年秋になるとコスモスが咲きほこる光景が広がり、周辺住民にとっては通り抜ける近道としても利用されていました。

利用状況

この駅は九州大学六本松地区や中村学園大学、福岡大学の最寄駅であり、学生の利用が特に多かったです。周辺には下宿も多く、隣駅の西新駅と同様に賑わいを見せました。このことから、駅周辺の開発が進むとともに利用者数が増加し、当時は廃線区間の中でも比較的多くの乗客が利用していた駅と言えるでしょう。

駅周辺の特徴

鳥飼駅の周囲には、さまざまな施設が存在していました。西鉄バス「鳥飼駅前」バス停や日本通運の鳥飼営業センター、鳥飼商店街には立ち飲みできる酒店や食堂、蕎麦屋、電気店、毛糸店、レコード店など多彩な店舗が並んでいました。また、中村学園大学や中村学園女子中学校・高等学校、福岡鳥飼郵便局も駅の近隣に位置していました。

1971年には筑肥線をオーバークロスする別府大橋が設置され、交通の便が改善されました。当初の目的は交通渋滞を解消することでしたが、混雑は続いており1974年春からは九州で初めてリバーシブルレーンが導入されることとなりました。さらに、樋井川に架かる筑肥橋には、駅が存在していた名残として蒸気機関車の動輪を模したデザインが施されるなど、地域の歴史を示す興味深い特徴が見られました。

現在の状況

現在、鳥飼駅の跡地には城南区役所や城南保健所が建てられており、駅周辺はバブル期の影響を受けてマンションや雑居ビルが立ち並んでいます。当時の賑わいや風景は失われてしまったものの、急速な都市化が進む中で鉄道インフラの再整備が求められるようになりました。その結果、2005年には福岡市地下鉄七隈線が開業し、鳥飼駅から南に100メートルの位置に新たに別府駅が設置されることとなりました。別府駅のロゴデザインは別府大橋にインスパイアされたもので、地域の新たなランドマークとなっています。

結論

鳥飼駅は、開業から閉鎖に至るまでの歴史の中で、ただの一駅でなく地域の歴史や文化を形作る一部となっていました。その存在は多くの利用者の記憶に刻まれ、駅周辺の発展にも寄与したと言えるでしょう。今日では、かつての賑わいは失われても、その名残は地域の風景や新たな交通機関に引き継がれています。

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